誰が先祖の供養をやっていくの?|花みずき法律事務所

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相続トラブル解決のQ&A

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誰が先祖の供養をやっていくの?

土地や建物、預金、株など財産を分ける方法は決まりましたが、誰がお墓を受け継いで、法事をやっていくのかが決まりません。どうして決めたらよいのでしょうか?

弁護士からのアドバイス

 お墓や法事をめぐった争いってどのような形で生じるのでしょうか?

相続で遺産を分ける時に、土地・建物や預金など経済的に価値のあるものをめぐって争いになるケースがあることは皆さんご存じですよね?

でも、それとは別に「お墓や法事をめぐった争い」が生じることもあります。

つまり、仏教の場合には、仏壇やお墓を誰が受け継ぐか、葬儀以降の初七日・49日・一回忌・3回忌などの法事を誰がやるかという問題です。

宗教の種類によって、色々とありますが、亡くなった方の先祖を敬う宗教的行為を民法ではまとめて祭祀(さいし)と読んでいます。

そして、そのような祭祀を受け継ぐことを「祭祀の承継(さいしのしょうけい)」、祭祀を行う人のことを「祭祀の主宰者(しゅさいしゃ)」と呼びます。

弁護士に依頼しないで遺産分割調停に出た場合、調停委員から急に

「祭祀の承継者を誰にするかは決まっていますか?」

などと言われて意味がわからないことがあるのではないかと思います。

これは、民法が土地・建物や預金などお金で換算できるものと、宗教的な色が強い先祖を敬う儀式を分けているからなんですね。

ですから、調停では、土地・建物、預金などお金を一切受け継がない相続人でも祭祀を承継することができますし、その逆でもOKです。

では、どのような形で争いが起きるのでしょうか?

争いのパターンには2つあります。

① 相続人の間で、「先祖を受け継ぐのは自分が適切だ」といって、祭祀の承継を取り合うケース。

② もう1つは、「先祖を受け継いで祭祀なんかやっても、お金と手間だけかかって嫌だ」と言って、祭祀の承継を避けるケース。

いずれのパターンも現実にありますが、この対立は理屈ではないので、第三者である調停委員や弁護士が説得するにも限界があり、簡単に決まらないことが多いです。

祭祀の承継者が決まらないとき、どうやって決めれば良いのですか?

まず、第1に優先されるのは、「亡くなった方が指定した人」です。

これは、遺言のように書面でなければいけないということはなく、口頭でも構いません。

ただ、実際に争いになるときのことを考えると、書面に残しておいた方が良いでしょうね。

 

第2に、指定した人がいない場合には、「慣習による」ことになります。

先祖を敬(うやま)う行為は宗教や地域によって異なるので、亡くなった方の宗教や住んでいた地域でのならわしによって決まるということです。

一般的に言われる「長男が家をつぐ」というのは、前民法で長男が家督相続として財産を含む全てを相続することを前提としているので、その理屈は今の民法では認められません。

つまり、亡くなった時点で、その宗教や地域のならわしの内容から祭祀の承継者を指定できるのか、しっかりと確認する必要があるでしょう。

それでも、慣習が不明で決まらないことも多いでしょう。

特に大きな都市になると、そういう「ならわし」自体が存在しないこともあり得ます。

 

そこで、最後に登場するのが家庭裁判所ということになります。

祭祀の承継者を巡って争っているケースで、指定も慣習もない場合には、争っている当事者や利害関係人が家庭裁判所に調停を申し立てて話し合います。

調停での話し合いでも解決できない場合に、最後にやむを得ず裁判官が祭祀の主宰者を指定する審判を下すことになります。

ただ、先祖を敬う行為を誰が行うべきかについて、全く先祖の関わりを持たない裁判官が決めることは適切ではありませんので、その前段階で合意をすることが殆どです。

 

なお、祭祀の主宰者になったからといって、たくさん財産をもらえる訳ではありません

財産と祭祀を分けるという感覚は、なかなか一般には理解しにくいものです。

遺産分割調停を起こそうと思われている方は、申立前に、

祭祀の承継者を誰にしたいのか?

それに対する反対はないのか?

を検討しておく必要があります。

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