パソコンで本文、署名が手書きの遺言は有効?
公証役場へ行く手間や費用をかけたくないので、自分で遺言を書こうと思います。
この時、遺言の本文をパソコンで作成しても、署名を手書きでしておけば有効となりますか?
弁護士からのアドバイス
本文は自筆が必要
本文をパソコンで作成すると無効になってしまうのでご注意ください。
つい、署名を手書きで書いておけば有効だと思って、本文はパソコンで作成してしまう例を良く見かけます。
しかし、前にご説明しているとおり、自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)は、遺言をする人が、遺言の本文、日付と氏名を手書きで書いて、印を押さなければならないのです。
相続法の改正で一部はパソコン作成もOK
1 改正の概要
自筆証書遺言の場合にも、そこに添付する相続財産(遺産)の一覧表(財産目録)については、自筆でなくてもよいことになりました。
例えば、パソコンでエクセルやワードを使って、財産目録を作ることもできるようになりました。
ただ、その財産目録の各ページごとに、遺言を書く人が署名してハンコを幼ければならないこととされています。
2 財産目録をエクセルやワードで作るのはどんな場合?
一言で言うと、
①遺産の種類や数が多いとき
②遺言をする人が、相続人に細かく遺産を避けたいとき
です。
遺言書で、いちいち「〇〇の不動産はAに、△△の不動産はBに相続させる」と自筆で細かく書くのは大変です。
もし、地番を少しでも書き間違えれば、一からやり直しになってしまいます。
そこで、エクセルやワードで財産目録を作っておいて、自筆で書く本文では「別紙財産目録1記載の財産はAに、同2記載の財産はBに相続させる」と書いた方が、間違いも少ないし、手間もかからないということなのです。
そのために、遺贈等の目的となる財産が多数に及ぶ場合等に財産目録が作成されることになるものと考えられます。
3 財産目録にも署名・押印が必要なことに注意
条文上は、「毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては,その両面)」に署名押印をしなければならないと規定されています。
例えば、財産目録を両面印刷をした場合には、エクセルやワードの目録が両面それぞれに、遺言を書いた人がその署名とハンコを押さなければならないということです。
ハンコが遺言書本文と違っても無効とはなりませんが、後で争いにならないよう統一して同じハンコを使った方が良いでしょう。
また、遺言書の本文と関連性が分かるように、ホッチキス等でとじて、割印を押した方が良いでしょう(なくても無効にはなりません)。
4 財産目録を訂正する方法は?
エクセルやワードで作った財産目録を訂正するのであれば、簡単に修正ができるので、パソコンで修正してプリントアウトし直すのが良いとは思います。
ただ、遺言書をホッチキス等でとめてしまった後で、財産目録の誤記に気がつくこともあるでしょう。
その場合には、自筆証書の本文の訂正と同じように、遺言者が財産目録を変更した場所を指示して、これを変更した旨を余白などに書いて、その横に署名してハンコを押すことが必要となっています。
結構、手順が面倒なので、大きな訂正の場合には、自筆証書遺言を書き直した方が良いと思います。
- 遺留分権の内容が変わりました
- 相続人ではない妻や兄弟の介護の努力は認められるの?
- 結婚して長くたった夫婦の間での贈与は戻さなくていいの?
- 夫が死亡したとき配偶者は死ぬまで自宅に住めるのでしょうか?
- 夫名義の建物に住んでいる妻には、居住権はあるのですか?
- 遺産分割前に財産処分があったときの調整方法は?
- 相続人の範囲と相続分(法定相続人)
- 連帯保証債務など債務の相続について
- 遺産を分けるときに選択する手続
- 他の相続人が遺産を勝手に処分するかも!?
- 行方が分からず生死不明な人の相続手続
- 【遺産分割調停】 遺産争いで話がまとまらない
- 遺産分割の対象となる財産は?
- 相続権を失ってしまう場合(相続欠格)
- 遺産分割調停や審判での預貯金の取り扱い
- 寄与分が認められるのはどんなとき?
- 特別受益の意味と計算の方法
- 安心できる遺言の書き方は?
- 遺言はどのような方法でやるの?
- 自分で遺言を書きたい場合
- 自分で自由に書いた遺言書は有効?
- パソコンで本文、署名が手書きの遺言は有効?
- 遺言の内容を秘密にしておきたい場合
- 遺留分って何のこと?
- 誰が先祖の供養をやっていくの?
- 分割する財産を選べる(一部分割)改正がされたと聞きましたが
- 手書きでの遺言を書きやすくするための改正
- 遺産を分ける前に預金の一部を払い戻す方法
- 遺留分権の内容が変わりました
- 相続人ではない妻や兄弟の介護の努力は認められるの?
- 結婚して長くたった夫婦の間での贈与は戻さなくていいの?
- 夫が死亡したとき配偶者は死ぬまで自宅に住めるのでしょうか?
- 夫名義の建物に住んでいる妻には、居住権はあるのですか?
- 遺産分割前に財産処分があったときの調整方法は?
- 相続人の範囲と相続分(法定相続人)
- 連帯保証債務など債務の相続について
- 遺産を分けるときに選択する手続
- 他の相続人が遺産を勝手に処分するかも!?
- 行方が分からず生死不明な人の相続手続
- 【遺産分割調停】 遺産争いで話がまとまらない
- 遺産分割の対象となる財産は?
- 相続権を失ってしまう場合(相続欠格)
- 遺産分割調停や審判での預貯金の取り扱い
- 寄与分が認められるのはどんなとき?
- 特別受益の意味と計算の方法
- 安心できる遺言の書き方は?
- 遺言はどのような方法でやるの?
- 自分で遺言を書きたい場合
- 自分で自由に書いた遺言書は有効?
- パソコンで本文、署名が手書きの遺言は有効?
- 遺言の内容を秘密にしておきたい場合
- 遺留分って何のこと?
- 誰が先祖の供養をやっていくの?
- 分割する財産を選べる(一部分割)改正がされたと聞きましたが
- 手書きでの遺言を書きやすくするための改正
- 遺産を分ける前に預金の一部を払い戻す方法