駿河湾のサクラエビ解禁と密漁

駿河湾のサクラエビには春漁と秋漁があります。

 

今が秋漁の旬ですから、通常なら静岡県内の自宅やお店の食卓を賑わしている頃です。

 

ところが、このサクラエビ、この2年ほど記録的な不漁が続いています。

 

サクラエビは、日本国内では、静岡市清水区由比沖と焼津市から御前辺りの沖でしか獲れません。

 

資源管理の観点から、静岡県桜えび漁業組合で自主規制をしていて、今日、2020(令和2)年11月1日から12月23日までが漁の解禁期間となりました。

 

この規制は自主規制ですが、漁については法律上の様々な規制がされていて、刑事罰も定められています。

 

海に面していて、川も多い静岡県内で魚介類をとるときは、うっかりと密漁にならないか気をつけなければいけません。

 

密漁犯罪になるケースは多いです。

 

私(谷川)が静岡県漁連の役員を担当している関係で、漁師さんとお話をする機会があります。

 

その中で、例えば、ウニやアワビなどが伊豆、静岡県中部などで獲れますが、これを旅行客や遊びに行った人が獲っていって困る、という話を聞くこともあります。

 

ウニやアワビのように漁業権の対象として保護されている水産物を勝手に獲ることはできません。

 

もし獲った場合には漁業権の侵害として 、被害者からの告訴があれば20万円以下の罰金となります(漁業法143条)。

 

また、漁業調整規則でも都道府県ごとに決まりがあり、サザエ、アワビ、伊勢エビなどの無断捕獲が禁じられています。

 

釣りをしていて、例えば伊勢エビがかかってしまった時には獲りたい誘惑にかられるかもしれませんね。その気持ちは分からないでもありません。

 

でも、この密漁、悪質な場合には、この罰則で実刑になることもあるので注意が必要です。

 

密漁について刑事弁護を担当したという話を他の弁護士から聞くこともあるので、静岡では良くある犯罪なのかもしれません。

 

漁業が盛んな都道府県でこそルールを守って釣りや漁をしたいものですね。

 

刑事弁護についての基礎知識についてはこちらをご参照ください。

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カテゴリー: 刑事事件のお話 |

静岡の裁判所でもIT裁判が導入

休日に中部横断自動車道を通って、山梨県の道の駅「なんぶ村の駅」をのぞいてきました。

 

色々な農産物をながめていると、この作物がありました。

なんと、カボチャだそうです。ビックリしました。

 

ハロウィンの飾りのために顔を作ったらどうなるのでしょうか……

 

さて、世界的な流れだと言われる裁判のIT化

 

新聞でも何度も報道されて、全国の裁判所で少しずつ導入が始まっています。

その流れの中、静岡地方裁判所本庁でも今年(令和2年)の12月14日からIT裁判の導入が始まることになりました。

 

もっとも、現在予定されているIT化を全て行うためには、民事訴訟法を中心とした法改正が必要となります。

 

そこで、まずは法改正なしで導入できる段階(フェーズ1)から始めることになっています。

 

今年もコロナウィルス感染の問題がなければ、弁護士会と裁判所とでIT化について協議をする場を多く設けられる予定でした。

 

しかし、大人数での会議はNGということになったため、裁判官と弁護士少人数のパートで検討して、ひとまず第一段階まではこぎ着けることになりました。

 

裁判所と弁護士にとって便利な運用としては、インターネットの画面共有ソフトを使って、弁護士が裁判所に出頭しなくても良い手続を増やすところから始まります。

 

マイクロソフトTeamsというソフトを使って、担当裁判官と裁判の代理人弁護士とで裁判のためのグループをつくります。

 

裁判期日に、弁護士は法律事務所のPCから認証を受けて参加して、裁判官、双方代理人弁護士が画面を共有して議論したり、書類の確認をしたりするということです。

 

今までも「電話会議システム」という方法で、一方の弁護士が出頭すれば、片方の弁護士は電話でも出席扱いとして対応が認められていました。

 

これをPCを使ってできるようにすると同時に、例外的に認められていた双方が出頭しないで行う裁判手続(書面による準備手続)をTeamsを使って積極的に行おうとするものです。

 

これにより、例えば静岡市でも裁判所から少し離れた法律事務所の弁護士は、いちいち裁判所に出頭しないで事務所で裁判に対応することができるようになります。

 

また、静岡地方裁判所の沼津支部や浜松支部でも同様の導入がされれば、私のように静岡市の事務所の弁護士にとっては、沼津支部、浜松支部の事件もやりやすくなります。

 

依頼者の方から見た場合、IT手続を積極的に使える弁護士であれば、実費や日当が安くなるため遠方の裁判での弁護士費用が前よりも安くなるという点は良いことでしょう。

 

ただ、依頼する弁護士については、面談して相性や信頼性を確認したり、不安なときに相談する必要があるので、お近くの弁護士に依頼すべき点は変わらないと思います。

 

この11月に2回ほど裁判所と弁護士会とでIT化の実演やテストが行われるので、確認をして当事務所でも使えるようにしておこうと思います。

 

「裁判手続で知っておきたいこと」の過去記事はこちらへどうぞ。

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【トピック】契約社員の退職金不支給

正社員には支給される退職金が契約社員には支給されていないとして、㈱メトロコマースの契約社員が格差是正を求めた裁判について、最高裁判所(小法廷)は契約社員の上告を棄却しました(日本経済新聞 2020.10.13配信)。

 

労働契約法の旧20条(現在の「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」8条)が禁じる「不合理な格差」にあたるかどうかが争点となった裁判です。

 

結論としては、契約社員(非正規雇用)の退職金を認めなかったことになります。

 

ただ、最高裁の小法廷は5人の裁判官から構成されており、そのうち1人の裁判官は正規と非正規の間に業務内容に変わりががないこと理由として反対意見を出しています。

 

同一労働同一賃金というスタンスは厚労省も数年前から打ち出していますので、反対意見が1人と軽視することはできないように思えます。

 

今後、企業側、労働者側とも判決の推移を注目していく必要がありそうですね。

 

「時事とトピック」のブログ過去記事についてはこちらをご参照ください。


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カゴパクと窃盗罪

「カゴパク」という言葉を知っているでしょうか?

 

スーパーの「カゴ」「パク」る(盗む)の通称だそうです。

 

レジ袋が有料化されてから、それに代わる袋、いわゆるエコバッグを持って買物をするようになった方も多いと思います。

 

私もコンパクトなエコバッグをカバンの中に入れているのですが、時々困ることがあります。

 

例えば、容器が大きめのお弁当を買ったときに、水平に入れられず、かといって横向きにすると中の汁が漏れそうなときです。

 

そんなときはエコバッグに入れて、取っ手を持たず、弁当が水平になるようにウェイターのような姿勢で持っていきます。

 

「果たしてエコバッグを使う意味はあるのだろうか?」と自問自答しながら・・・

 

そんなとき、商品をレジで精算した後カゴに入れたまま家まで持って行ければ楽なのでしょう。

 

ちなみに、スーパーの商品の代金を支払わないでカゴごと持って行くのは、以前からある窃盗犯です。

 

今、問題となっているカゴパクは、商品はレジで精算した上で、カゴに入れて持って行くという行動です。

 

私(谷川)が担当の時の当番弁護事件や国選弁護事件でこのような事案の担当になったことはなく、他の弁護士からも聞いてはいないので、静岡県中部地域では少なくとも検挙されてはいないようです。

 

検挙されないとしても、厳密に見た場合、これは窃盗罪になるのでしょうか?

 

まず、スーパーのカゴのような財産的な価値が低いものでも窃盗罪になるのでしょうか?

買い物カゴのイラスト(中身なし)

最高裁(大審院)の判例では、窃盗罪の対象となる「財物」については財産的価値を問わないとして価値がほとんど無いものについても窃盗罪を認めています。

 

例えば、

・無効な手形

・神社内に安置された木造1体と石塊

・消印済の収入印紙

も「財物」として窃盗罪の対象となるとしています。

 

ただし、高等裁判所では,

・メモ用紙1枚

・ちり紙13枚

を盗んだ事件を窃盗未遂としている例もあります。

 

これらと比べると、スーパーのカゴは何度も使えますし、便利だからこそ持って行ってしまうのだから、財産的価値は十分あり「財物」といえます。

 

では、このときスーパーの常連さんがカゴパクするのと、初めて来た人がカゴパクするのとでは法律的に何か違いがあるでしょうか?

 

場合によっては違うことはありえます。

 

「使用窃盗」といって、最初から一時的に借りるつもりで持って行く場合には、返すつもりがあるのだから窃盗にあたりません

 

刑法の解釈では「不法領得の意思がない」と言います。

 

ただ、これを主観的に捉えてしまうと、多くの窃盗犯が「返すつもりだった」と言い出しかねません。

 

そこで、一時使用のつもりだったかどうかは、客観的事情から判断するしかないことになります。

 

そんなとき、近くに住む常連さんで、実際にカゴを返したり持って行ったりしていたような場合には、その行動から使用窃盗として窃盗罪に当たらない可能性もあります。

 

これに対して、遠くに住んでいて、初めて来たようなお客さんの場合には、カゴパクという行動はカゴを遠くへ持ち去る意思しか認められません。

 

従って、窃盗罪にあたることになります。

 

もっとも、常連さんだからといって、必ず窃盗にならないとは言えません。

 

カゴを持って行って、1週間返すのを忘れていれば「返すつもりだった」という言いわけはききません。

 

いずれにせよ、お店にとっては、店内で使用できるカゴが減って困るでしょうから、やはりカゴパクは止めるべき迷惑行為なのでしょうね。

 

刑事弁護についての基礎知識についてはこちらをご参照ください。

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【トピック】俳優の労災申請

俳優の恩田恵美子(おんだ・えみこ)さん(83才)が、TVドラマの撮影現場で足の骨を折ったとして、休業補償を求める労災申請をしました(共同通信社 2020.09.26配信)。

 

労災の申請は、通常は使用者と雇用契約(労働契約)を結んで、使用者の指揮監督に服する「労働者」が行うことが予定されています。

 

しかし、俳優が雇用契約という形での契約をしていないことが多いことから「労働者」と言えるのかは難しい問題です。

 

俳優は自分の判断で個別の仕事を受けるかどうか決めて、受けた役作りについて裁量で表現する部分はあるでしょう。

 

会社の従業員と全く同じように、使用者(上司)の命令に従う仕事ではありません。

 

そのため、労災の対象となる「労働者」として認められない可能性もあり、どこまで労災が認められるかの先例として注目されています。

 

「時事とトピック」のブログ過去記事についてはこちらをご参照ください。


カテゴリー: 時事とトピック |

偽訴訟の詐欺ハガキを郵送してもいいの?

急に涼しくなって、秋らしい気候となってきましたね。

 

ちょうど良い気温がしばらく続いて欲しいものです。

 

さて、以前、私(谷川)のところにも偽の訴訟通知のハガキが届いていたことはお話しました。

 

静岡市だけでなく、隣接する焼津市・藤枝市・島田市あたりの方からもご相談を受けることがあるので、静岡県内でもこのような詐欺が頻発していたようです。

 

「民事訴訟告知センター」なるところから、裁判をおこされていて給与や不動産の差押えをするというような内容です。

詳しくは↓の記事をご参照下さい。

訴訟最終告知の葉書でビックリ

 

このハガキ、最近は封筒でも届くことがあるそうです。

 

東京都消費生活綜合センターや共同通信の記事で注意喚起がされています。

 

確かに、ハガキだと怪しい感じが強すぎることや、色々な人の目に触れるので、家族から止められたりし易いので、本人だけが見るような封筒にしたのでしょう。

 

そう考えると、郵便局の人がハガキを見て「詐欺だ」と気づくこともあるでしょうから、そんなハガキを郵送して良いのか?という問題はあります。

 

実際、警察関係からは犯罪予防のために、日本郵政が対応すべきとの意見も出ているようです。

 

しかし、ここで大切な権利の問題が出てきます。

 

私たちの「通信の秘密」(憲法21条2項後段)を侵害しないかという問題です。

 

もし、日本郵政にハガキの内容から、詐欺か?詐欺でないか?の判断をさせるとしましょう。

 

そのためには、ハガキの文書を呼んで判断しなければなりません。

 

つまり、私たちの出すハガキの内容を郵便局員が読むことが前提となるのです。

 

通信の秘密は、プライバシー権表現の自由守るために非常に重要な権利です。

はがきを読む人のイラスト(女性)

これが法律で制限されているのは、例えば、

① 刑務所に入っている人の手紙を刑務所の管理者が検査するとき

② 破産した人の手紙を破産管財人が財産調査のために確認するとき

など極めて限定されています。

 

そのような場合と同じくらい、大切な権利を制限する必要があるのか疑問です。

 

また、私たちが友達同士だけがわかるジョークを入れてハガキを送ったら、「内容が不審」として返されてしまうかもしれません。

 

詐欺が横行しているからという理由で、ハガキの内容が適切かどうかの判断を日本郵政という郵便を独占する企業に委ねて良いのかは難しい問題です。

 

組織的にやってしまうと、やはり直接又は間接的に憲法21条2項違反となる危険があります。

 

そういう意味では、やはり報道や消費者センターなどで、情報提供していくしかないのでしょう。

 

ということで、ハガキはもちろん封筒であっても、全く心当たりがない訴訟の告知だったら、警察・消費者センター・近くの弁護士の無料相談などで確認することが大切でしょうね。

 

※ 詐欺の被害を防ぐためにお役に立つと思われた方は、リンクを共有していただければ。

消費者被害の一般的なご説明についてはこちら

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カテゴリー: 消費者の被害 |

口座からの携帯料金引き落としを止められない?

四連休は出かけられた方も多かったようですね。

 

久しぶりの行楽地で気分転換できたでしょうか。

 

私(谷川)は事務所の改装のため、業者さんと一緒に、朝から晩まで汗まみれで荷物の移動などをしていました。

 

そのおかげで、明日の連休明けからは、全ての相談室を個室にしてのご対応ができます。

 

来年の1月からは弁護士、事務員も増えて、より充実したサービスのご提供をしていきます。

 

さて、今では誰もが持っている携帯電話(スマートフォン)。

スマートフォンのイラスト2(アイコン)

「携帯電話の料金」を支払っていますが、その料金の中に通話料の割合はとても少ないのが普通ですね。

 

動画を見たり、SNSを見たり、検索したり、ゲームをやったりしたデーター通信料が料金のほとんどを占めていると思います。

 

では、その料金は誰が支払うのでしょうか?

 

法律の原則に照らせば、「携帯電話の会社と契約した人」支払いの義務を負います。

 

ですから、契約をした人の口座から料金が引き落とされたり、請求書が届いたりするのが法律が予定している形です。

 

もっとも、未成年の子供や働いていない専業主婦(主夫)などは、親や配偶者の口座から引き落としがされているケースも多いです。

 

この場合、契約者が子供や主婦(主夫)であれば、契約者と引き落とし口座の名義人が異なってくることになります。

 

当然、引き落としにあたっては、どこの携帯電話会社も、口座名義人から同意書をもらっていますから特に問題はありません。

 

では、どんな場合に問題となるでしょうか?

 

例えば、次のような場合です。

① 夫婦が離婚したのに、妻の携帯電話料金が夫の口座から引き落とされ続けている。

② 親子の仲が悪くなって、子供が音信不通になっているのに、親の口座から子供の携帯電話料金が引き落とされ続けている。

 

今年(2020年)の7月3日に東京地裁で、のケースについて判決が下されました(8月4日yahoo news・共同通信社)。

 

事例としては、息子が未成年のときに、父親は息子が契約したソフトバンクの携帯電話の料金を支払うとの同意書にサインをしたというケースです。

 

息子と連絡が全くとれなくなってから、毎月10万円近くの料金が父親の口座から引き落とされるようになりました。

スマートフォンを使う男性のイラスト「困った顔」

ところが、ソフトバンクの約款では、契約者(ここでは息子)が手続をとらなければ、支払う人(ここでは父親)を変えられないとなっていました。

 

ここで約款というのは、契約をするときに細かい文字でびっしりと契約の内容を定めている条項(ほとんど読みませんよね?)のことです。

 

ちなみに、同じような趣旨の約款を、NTTドコモもAuも定めているので、ソフトバンクだけが特別というわけではありません。

 

でも、支払う側にしてみれば、連帯債務者でも連帯保証人でもないのに、永遠に支払いの義務を負わされる危険を負うのでは困ります。

 

そこで、東京地裁の判決では、同意書に基づく支払いは携帯電話会社から強制できるものではなく、任意のものであり、これを維持する義務はないとしました。

 

実際、連帯保証人や連帯債務者にするのであれば、それ相応の手続の説明をしてもらわないと困りますよね。

 

今回はのケースでしたが、私が離婚事件などで経験しているのは、むしろのケースの方が多いです。きっと、これは静岡県に限ったことではないと思います。

 

この判決の趣旨からすれば、夫婦の場合にも同じ結論となるかのうせいはあります。

 

この判決に対してソフトバンクは、東京高等裁判所に控訴せずに確定しています。

 

おそらく、上のような約款の取り扱いは、私たち消費者から納得できないものですから、今後、約款の見直しをしていくことになるのでしょう。

 

また、高裁で大きな話題となって確定判決が出てしまうと、これまでの引き落とし分について返還請求の訴訟が起こされかねません。

 

企業の戦略としては、適切な判断だったのだのでしょう。

 

契約者ではないのに口座からの引き落としに同意してしまった方は、困ったときには、「支払いは任意」というこの判決を思いだしていただければと思います。

 

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離婚するときに忘れがちなこと

今、当事務所は改装工事をしているところです。

 

弁護士の数が増える予定のため、相談室の数を増やして、全て個室としました。

 

当事務所がある辺りは、比較的、閑静でありながら私鉄、JRの静岡駅にも近いため賃料が高めなのですが、大家さんのご厚意で助けられています。

 

来月からは、相談室が全て個室となり、よりご安心してお話できます。

 

さて、日本では離婚の手続夫婦の意思でできるというのはご存知だと思います。

 

特に、裁判所に行かなくても、夫婦が合意さえすれば、市役所に離婚届を提出するだけで離婚は成立します。

離婚届のイラスト

海外では、法律の定める要件を充たさなければ、夫婦の合意があっても離婚できないという国も多いです。

 

それとは異なるため、裁判所や弁護士が関わらなくても構いません。

 

ただ、離婚するにあたっては、主張を漏らさないようにすることが必要です。

 

特に、忘れやすいのが、財産分与年金分割面会交流です。

 

例えば、妻の心理として、離婚するにあたって子供のことを第一に考える方が多いので、子供の親権や養育費は忘れません。

 

また、離婚後の生活のことを考えれば財産分与に気づきますし、傷つけられたという気持ちがあれば、慰謝料も忘れないと思います。

 

もっとも、財産分与の対象にどのような財産が含まれるかということを知らない場合、それを請求し忘れることがあります。

 

例えば、預金、投資信託や不動産について請求しても、生命保険の解約返戻金の分与夫の退職金の分与を忘れてしまうことがあります。

 

また、年金分割の請求も忘れてしまいやすいことです。

 

年金をもらうのは遠い将来のことであっても、その頃に月1万円でも年金が多ければ大分違います。

 

例えば、増えた年金月1万円を65才~85才まで貯金した場合、合計すると240万円の貯金ができるのです。

 

その年齢で240万円も貯金することは普通は無理でしょうし、それだけのお金を使えるというのであれば、生活に少しは余裕ができます。

 

そして、年金分割の請求は、離婚後2年経過するとできなくなってしまうので、離婚するときに主張しておくことが大切です。

 

年金分割を請求するためには、事前に「年金分割のための情報通知書」を年金事務所(静岡市では街角の年金相談センター(静岡市駿河区南町18-1 サウスポット静岡2階)が駅に近くて便利です)でもらっておく必要があるのでお忘れなく。

 

また、夫が忘れそうなのは、面会交流についての適切な主張です。

 

離婚しても子供に会いたいと思っているけれど、離婚の話し合いで子供と会う条件を定めなかったり、調停で主張を忘れることがあります。

 

また、仮に離婚調停で夫が面会交流を主張しても、妻が「嫌だ」という姿勢を貫けば、話し合いは離婚の条件だけに絞られていってしまいます。

 

そうならないためには、夫から面会交流調停の申立をしておく必要があります。

 

そうすれば、離婚調停とは別事件として面会交流の話し合いをしてもらえますし、もし妻が理不尽な拒絶を続ければ、裁判所が「審判」という形で命令を出してくれます

 

こう考えると、当事者同士で話し合って離婚をするときでも、離婚の条件が決まったら、それを書き出して弁護士の無料相談で見せると、漏れがなくて安心だと思います。

 

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カテゴリー: 離婚のお話 |

仮釈放とジョン・レノン射殺事件

ジョン・レノンという名前を聞いたことがある方は多いでしょう。

 

ビートルズのメンバーで、解散後も「イマジン」など有名な曲を世に送り出すとともに、戦争反対や世界平和へのメッセージを送り続けていました。

 

彼が1980年に、ファンと称するマーク・チャップマンに射殺されたことは、世界的なニュースになりました。

 

当時、私は高校生で、ビートルズのファンだったため、夢のように考えていた再結成の可能性が断たれたことに呆然としたことは記憶に残っています。

スタジオのイラスト(音楽)

そのマーク・チャップマンは、第2級謀殺の罪で「懲役20年から終身までの無期」を言い渡されました。

 

現在服役しているところ、最近11回目の仮釈放の申請をしていて、それが先月26日(2020年8月26日)に却下されました(8月27日東京新聞・共同通信社)。

 

この仮釈放という制度は、日本にもあります。

 

刑務所に入った者に反省の様子があり、社会に戻すことで立ち直れると判断された場合に、刑期の途中でも仮に釈放するという制度です(刑法28条)。

 

無期懲役の刑を受けた者であれば、10年を経過した後、法務省が所管する地方更生保護委員会が判断することになっています。

 

無期懲役で、たった10年で仮釈放されるの?という疑問もありますが、現実の運用は相当厳しいです。

 

特に,平成16年の刑法改正で有期懲役の最長期間が30年に延長されてからは(刑法14条)、それより短い期間で無期懲役囚を仮釈放することがしにくくなったようです。

 

確かに、無期懲役囚の方が有期懲役囚よりも早く釈放されるという運用は、社会の理解を得られにくいとは思います。

 

そこで、その頃からは、実質的には服役後30年経過してから審理が行われる運用となり、仮釈放が認められるとしても、その率は極めて低いです。

 

更に、数字に表れない部分として、例えば40才以上で服役した無期懲役囚は、仮釈放の審理が行われる前に刑務所内で亡くなってることが多いでしょう。

 

そのため、無期懲役で服役して仮釈放を受けられるのは、多くの監督者の目から30年間以上見て、共通して反省の情が認められる人に限定されているということです。

 

仮釈放を認めて社会内で早期に更正させた方が本人や社会のためというケースもありますし、仮釈放中に重大な犯罪を犯したケースもあります。

 

人の心理や変化が完全には分からないことから、「もしも、仮釈放して重大犯罪を犯してしまったら?」という心配が厳しい判断につながっているのでしょう。

 

なお、無期懲役囚はどこにでも収監されているわけではありません。

 

静岡刑務所は初犯の者など比較的軽い犯罪の受刑者が多いので、無期懲役の仮釈放がされることは余りないようです。

 

いずれにせよ

「仮釈放は甘くない。」

これだけは、厳然たる事実と言えるのでしょう。

 

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コロナを理由に解雇できる?

うすぐ9月ですが、暑い日が続きますね。

 

マスクをしている時間が長い夏なので、熱中症にはお気をつけください。

 

さて、コロナウィルスによる仕事への影響が様々な業種で出ています。

 

静岡市内のハローワークに行かれた方からも、ソーシャルディスタンスを取りつつ求人票を取得するのが大変だという話をよく聞きます。

 

おそらく、コロナによる売上激減により従業員の解雇をせざるを得ない企業も増えてきているでしょう。

 

そんな中、今月の21日(令和2年8月21日)に、コロナを理由とする解雇の有効性について仙台地方裁判所が判断を下しました。

 

タクシー会社を解雇された従業員(運転手)が、仮処分という緊急の申立をしたものです。

タクシーに乗る人のイラスト(女性)

会社を解雇された場合、それを無効として争うことはできますが、本格的な裁判を起こした場合、時間がかかりますよね。

 

解雇された従業員は、その前に賃金(給料)を支払ってもらわないと生活に困ります。

 

そこで、従業員が解雇の無効を主張する場合には、本来の裁判を起こす前に、迅速に決定を出してもらえる仮処分という申立をしていくのがセオリーです。

 

今回も、従業員の解雇が無効であることを前提に、

① 従業員としての地位があることの確認

② 賃金の支払いを求める

仮処分の申立をしました。

 

裁判所の決定の内容は、まだ裁判データベースにされていないので、新聞記事から推測するしかないのですが、次のとおりだと思われます。

 

従業員の解雇は自由にできるものではなく、労働契約法16条により解雇が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」には無効となります。

 

そこで、「客観的に合理的な理由」があるのか?が争点となったのだと思います。

 

今回は、会社がコロナウィルス感染の影響により業績が悪化して、経営を維持していくためには、人件費削減のため従業員の解雇が必要だと判断したのでしょう。

 

確かに、タクシー業界は、夜の飲み会、イベント、観光がコロナによる打撃を受けると、それがそのまま影響して苦しくなってしまうでしょう。

 

しかし、コロナ不況で再就職が難しい中で解雇されてしまうと従業員は大きな不利益を被ります。

 

そこで、裁判所は、解雇という最終手段を回避するだけの措置をタクシー会社が講じていたかを検討しました。

 

そして、まず、従業員を解雇ではなく、在宅を指示して休業手当を支払う方法があったと考えました。

 

もっとも、その休業手当を会社が支払う体力がなければ、やはり解雇は避けられません。

 

そこで、本件ではタクシー会社が雇用調整助成金を受け取ることができるケースであり、これを申請すれば休業手当の大半を補填できるとしました。

 

ですから、解雇をしなくても、運転手を休業させれば足りるとして「客観的に合理的な理由」がないとしたのだと思われます。

 

なお、この裁判所の決定から「コロナを理由とする解雇は無効」という一般的な判断をすることはできません。

 

例えば、雇用調整助成金の申請が認められなかったり、従業員の給与が高くて休業手当の大半を助成金で補填できなければ判断も変わり得ます。

 

更に、それに加えて、会社が破綻寸前と認められる会計帳簿を証拠として出してきたようなケースであれば、解雇は有効となることもあります。

 

解雇された従業員から見ると、雇用調整助成金を会社が申請できるか、勤務先の会社の経営がどれだけ危ないかを確認して争うことになるでしょう。

 

会社側からみると、雇用調整助成金を受給してもマイナスが大きく重なって破綻しかねないような場合であれば、解雇をせざるを得ないことになるでしょう。

 

いずれにせよ、コロナ感染を抑制できて、人が行き交うようになって、会社も従業員も安心できるようになるのが一番いいことですよね。

 

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