労働審判は裁判とは違うの?

天気予報を聞いていると、今年は梅雨明けが早そうですね。

 

梅雨明けとともに、新型コロナウィルスの心配も晴れる方向へ向かうことを期待したいと思います。

 

さて、労働審判という手続を聞かれた方はいるでしょうか。

 

裁判よりも簡易迅速な方法で、不当解雇残業代請求などの労働問題を裁判所で扱ってくれる手続です。

 

裁判官(この手続では「労働審判官」と呼びます)だけでなく、労働者側と使用者側から1人ずつ労働審判員が参加して、3人で審理してくれます。

 

原則3回以内で結論を出すことになっているため、労働審判の申立書とそれに対する反論書(答弁書)は、1回目から詳しく書くことを求められます。

 

また、現在持っている証拠はできるだけ第1回までに提出し、不足するものが仮にあったら、2回目までに追加することが予定されています。

 

また、調停という話し合いの手続と対立し過ぎた場合の審判という判決のような手続をミックスしているので、判決で終わることが予定されている訴訟よりも柔軟です。

 

このような柔軟で早い手続が定められたのは、労働者が生活に関わる問題を早く解決していく必要性がとても高いからです。

 

そのため、労働審判を申し立てるのは、ほとんどの場合労働者側です。

 

ただ、私は使用者側から、労働審判を申し立てたことがあります。

 

このときは、法律で定められたこと以上の要求を労働者がしてきて、雇っている会社が非常に困っていたことが理由です。

 

「労働者を守る労働法を会社が主張する」という、やっていて自分でもヘンな感じがしたことを覚えています。

 

静岡県では、静岡地方裁判所の本庁、浜松支部で労働審判を取り扱っていますが、現時点で沼津支部では取り扱っていません。

 

ただ、沼津支部も規模としては大きいので、今後、労働審判が行われるようになると思います。

 

できるだけ、労働事件にはならない方が良いのですが、やむを得ない場合には訴訟よりも、柔軟で早い手続だということを知っておくと便利かと思います。

 

労働問題のブログ過去記事についてはこちらをご参照ください。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ           にほんブログ村 地域生活(街) 中部ブログ 静岡(市)情報へ
にほんブログ村


カテゴリー: 労働事件のお話 |

遺留分を奪うことは難しい?

こんにちは。弁護士の谷川です。

 

先日、天気の良い休日を利用して、静岡市の由比(市の東端)の峠を歩いてきました。

 

ピクニック程度の高さと距離なのですが、日頃の運動不足がたたって、足が痛くなってしまいました。

 

でも、途中の眺めは、素晴らしかったです。

峠から見る富士山

もし、JR由比駅から数㎞峠を歩く覚悟があれば是非。

 

さて、遺留分という言葉は聞いたことがあるでしょうか。

 

遺言でも奪えない最低限の取り分です。

 

相続人のうち、配偶者、子供、親などの直系尊属に認められています。

 

そのため、例えば、父親が、ある子供には一切遺産を与えたくなくて除外する遺言を書いても、法律で定める遺留分については、その子供も遺産を取得することができます。

 

どうしても、その子供に遺産をあげたくなかったら、「廃除」という申立を家庭裁判所にしなければなりません。

 

ただ、廃除は被相続人(ここでは父親)を虐待するなど、相当、ひどいことをしないと認められません。

 

そこで、強制力はありませんが、遺言者が「付言」として遺言書で相続人に求めることはあります。

 

例えば以下のように書きます。

 

「遺言者は、遺留分権利者が遺留分侵害額請求※をしないことを求める」

※ 民法の相続分野の改正がされて、以前は「遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)」と呼ばれていた権利が「遺留分侵害額請求」と名前が変わりました。

遺書を書いている人のイラスト(男性)

遺留分は、先ほど書いたように、遺言でも奪えない取り分ですから、このように付言で書いても法律的には効力はありません

 

ただ、父親の最後の意思が遺言書に書かれていると、感情的に遺留分の侵害額請求をしにくくなってしまうのですね。

 

家族関係は色々ですから、第三者から見て父親の意思が適切な場合もあれば、偏見で書かれていると思われる場合もあると思います。

 

結局は、それぞれの事例ごとに、遺留分侵害額請求をしていくのか考えていくしかないのでしょう。

 

【このブログは掲載日時点の一般的な情報です。事件についてお悩みの方は最寄りの無料法律相談をご検討ください。】

相続の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ           にほんブログ村 地域生活(街) 中部ブログ 静岡(市)情報へ
にほんブログ村

 


カテゴリー: 相続のお話 |

遺産分割前の引き出しに上限はあるの?

雨で湿度が高かったり、暑かったりする日が続きますね。

 

気温が極端に上がったりして、体調を崩しやすいので十分お気をつけ下さい。

 

前回、相続が始まったら、他の相続人が反対しても預金の一部を払い戻しできるとのお話をしました。

 

とはいえ、それぞれの相続人に預金の払い戻しを自由にさせてしまうと、いつの間にか預金がなくなってしまう危険もあります。

通帳を見て青ざめる人のイラスト(女性)

それでは、遺産を分ける話し合いのときに、預金がなくなってしまって、上手く分けられなくなってしまいます。

 

そこで、各相続人が単独で払い戻しできる金額には上限を設けています

その上限は以下のとおり計算します。

 各預貯金額の3分の1に各相続人の法定相続分かけた金額

 同一の金融機関において150万円以下であること

具体例で見てみましょう。

 

父親が死亡して、相続人は長男と二男の2人だとします。

 

遺産としての預金が1200万円あり、二男が大学の学費のために緊急でお金が必要だったとします。

 

そこで①を基準に計算すると、次のとおりとなります。

1200万円×1/3×1/2(法定相続分)=200万円

でも、この預金が一つの金融機関、例えば三井住友銀行だけにあった場合には、同一の金融機関の上限150万円を超えてしまいます。

そこで、この場合には

② 上限の150万円までに限って、二男は単独で(長男の反対があっても)払い戻しを請求することができることになります。

 

実際に、払い戻しを請求するときには、自分が相続人であることその法定相続分が何分の1か金融機関に証明する必要があります。

相談窓口のイラスト

そして、払戻を請求するにあたっては、少なくとも次の資料を求められることが予想されます。

① 被相続人(亡くなった方)が、生まれてから亡くなるまでの戸籍事項証明書

② 相続人全員の戸籍事項証明書

③ 預金の払い戻しを請求する方の印鑑証明書と実印

④ 本人確認資料(例えば、運転免許証)

 

これも、金融機関によって異なることが多いので、事前に電話なので確認してから行った方が手間がかからないと思います。

 

【このブログは掲載日時点の一般的な情報です。事件についてお悩みの方は最寄りの無料法律相談をご検討ください。】

相続の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ           にほんブログ村 地域生活(街) 中部ブログ 静岡(市)情報へ
にほんブログ村


カテゴリー: 相続のお話 |

遺産の預金を自分の分だけ引き出せる?

燕が飛んでいるのを見て、季節の変わり目が来たと思っているうちに、もう梅雨入りしてしまいました。

 

湿度が高くなったので、さすがにクールビズでないと仕事の効率が落ちてしまいますね。

さて、民法は、最近になって、多くの改正規定が適用されるようになっています。

 

契約関係など(いわゆる「債権法」)が最も大きな改正なのですが、むしろ相続の分野の改正の方が、身近なものかもしれません。

 

相続の分野の重要な改正についても、お話していきたいと思います。

■

相続をするときには、必ずといっていいほど預金がありますよね。

 

この預金は、銀行などの金融機関に払い戻しを請求する権利預金債権)であり、土地や建物と違って分割は可能です。

 

例えば、親の300万円の預貯金を、2人の子供が相続したときには、数字上では150万円ずつ分けることは可能です。

 

でも、各相続人が勝手に払い戻しをできるとした場合、遺産分割での話し合いが上手く出来なくなる危険があります。

預金通帳のイラスト

例えば、相続した土地(価値2000万円)に長男が住んでいて、預金が2000万円あったとしましょう。

 

二男は、土地を取得できないから、その代わりにお金を取得しようとしていたのに、長男が自分の取得分として1000万円の払い戻しを受けてしまうと、二男は預金(お金)で取得することが難しくなってしまいます。

 

住んでいる長男を追い出して売却する方法は、居住権の問題もありますし、手間も費用もかかるので好ましくありません。

 

そこで、平成28年に最高裁は、預貯金も遺産分割の対象となるため、話し合いで分割内容を決めるまでは、原則として、個々の相続人が自分の相続分だけを勝手に払い戻すことはできない、という取り扱いとしました。

 

もっとも、相続人の中には、被相続人(亡くなった方)から扶養されていて、すぐにお金が必要な場合に問題が生じます。

 

つまり、他の相続人の反対で、遺産分割全体の内容が決まらないと、何年も預金を引き出せなくなってしまうのです。

 

例えば、夫の扶養で生活をしていた妻が、引っ越したり、就職するまでにどうしても一時金が必要な場合に、他の相続人(例えば子供たち)の反対のために預金の払い戻しを受けられないこともあります。

 

逆に、子供たちが困るケースもあるでしょう。

 

そこで、令和元年7月1日以降の相続については、預貯金について、他の相続人の同意がなくても、預貯金の一部について払い戻しを受けられることとしました。

 

なお、引き出し額には上限があるので、それについては次回、お話ししたいと思います。

 

ちなみに、相続が始まったの(死亡日)が令和元年7月1日より前でも、払い戻しがそれ以降であれば、この制度が適用されます。

 

預金の一部引き出しを認めることで、家族が突然死亡して、生活に困ってしまうことを防ごうとしているのですね。

 

相続の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ           にほんブログ村 地域生活(街) 中部ブログ 静岡(市)情報へ
にほんブログ村


カテゴリー: 相続のお話 |

検察庁法の改正の問題って?

新型コロナウィルス感染の影響で、ご苦労されている皆様に心からお見舞い申し上げます。

 

静岡県は特定警戒都道府県ではありませんが、市内で20人の感染者が出ていることから、私もできる限りの注意をするようにしています。

 

幸い、静岡の弁護士などの「法曹」には感染者は出ていないようですので、静岡では法律事務所へのご来所は、ご安心いただいて良いかと思います。

 

さて、ここで「法曹」という言葉ですが、これは裁判官・検察官・弁護士の三者を指します。

 

全員、同じ「司法試験」を受けて、同じ「司法研修所」で司法修習生として研修を受けて実務家になるので、ひとまとめに「法曹」と呼ぶのでしょう。

 

その中で、最近、検察官の定年について法律改正がされることが話題となっていますね。

検察官記章・検察官バッジのイラスト

分かりやすくするために、ざっくりとご説明します。

 

内閣は、検察庁法の一部を改正しようとしていますが、ここには二つの問題点があります。

 

一つ目の問題は、検察官の役職を政治家(国会議員である大臣)が決めるようになるというところです。

 

検察官には、えらい人だけがなれる役職(普通の会社で言えば役員クス)があります。

 ・社長クラス(検事総長)

 ・専務・常務クラス(次長検事・検事長)

 ・普通の取締役クラス(検事正)

この役職に定年制※を設けて、原則として63才(検事総長は65才)になったら役員クラスから降りることとしています。

(※ 検察官の公務員としての「定年」とは別のお話です。)

 

 

ただ、今度の法改正では例外を定めていて、63才(65才)を過ぎても、内閣や法務大臣(つまり政治家)が必要と認めれば、最長で3年間、役員クラスのポストにとどまれるというオマケがついているのです。

 

過去には、検察庁が政治家の汚職事件(政治家がワイロをもらうような事件)を数多く捜査して立件・起訴しています。

 

例えば、有名どころでは、ロッキード事件、リクルート事件、最近ではIR(カジノなど)に絡んだ汚職事件も摘発しています。

■

これは、多数派である与党の影響を受けやすい警察組織(内閣をトップとした行政組織に組み込まれているため)ではなく独立した検察庁が直接捜査をすることで、私たち国民のために政治家を取り締まってもらっているというとです。

 

「東京地検特捜部による摘発!」なんて言葉をニュースとかで聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

 

だからこそ、検察官ってカッコいいというイメージがあって、キムタクのドラマなんかも人気があるわけですよね。

検察官・検事のイラスト(男性)

この検察庁の捜査に対して大きな力を持つのは、もちろん検察官の役員クラスの人たちです。

 

その役員クラスの人のポストを延長するかどうかを決めるのが、内閣(大臣によって構成される組織)や法務大臣らの政治家となります。

 

つまり、「ワイロの事件を捜査する検察庁の首根っこを政治家が握る」という法改正となるのです。

 

このような制度で、私たちの信じる正しい捜査や政治が行われるのだろうか?というのが一つ目の問題となっているわけです。

 

二つ目の問題改正の時期です。

 

この検察庁法の改正は、表面上は役職定年制度の改正のように見えます。

 

しかし、その内容は、「検察庁が適切な捜査を行えるか」という、日本の捜査制度、更には憲法が予定している検察庁の独立性という権力分立に関わる問題を含んでいるのです。

(※ 三権分立とは別に、憲法が権力を分離して濫用を防ごうとする仕組みです。例えば「地方自治」の条項もこれにあたります。)

 

ですから、賛成であれ、反対であれ、私たち国民が内容を十分に理解して、問題ないかどうか考えたり、話し合って考えを決めた方が良い問題です。

 

また、検察官の役職定年の改正は、コロナ対策に比べれば緊急性は低いのではないでしょうか。

 

それを、私たちが身近なコロナの影響に苦しんで、検察官の役職定年なんてことを考える余裕もない時期に、法案を通してしまって良いのか?というのが二つ目の問題です。

 

様々な人が反対しているのは、主に上の二つの問題点を指摘しているのです。

 

逆に、賛成するのであれば、上の二つについて「問題がない」ということを説得的に主張する必要があります。

真剣な会議のイラスト(老若男女)

賛成であれ、反対であれ、コロナの問題が収束してから、しっかりと皆で考えたり、話し合ったりしたいものですね。

 

「時事の感想」のブログ過去記事についてはこちらをご参照ください。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ           にほんブログ村 地域生活(街) 中部ブログ 静岡(市)情報へ
にほんブログ村


カテゴリー: 時事についての感想 |

養育費・婚姻費用算定表が変わりました

 おそまきながら新年おめでとうございます。

「謹賀新年」の判子マーク(四角)

 今年の年始は暖かいですね。静岡では1月なのに20度くらいまで温度が上がる日もあって、春のようでした。

 さて、昨年12月23日に、裁判所が養育費・婚姻費用算定表改訂を行いました。何と16年ぶりです。

 養育費は離婚後に子どもを育てるために支払う費用、婚姻費用は離婚前に妻と子どもの生活費として支払う費用です。

協力して進む子どもたちのイラスト

 ここで、多くの方が知りたいのは、養育費・婚姻費用の金額が、増えたのか減ったのかでしょう。

 養育費、婚姻費用ともに、昨年までの算定表よりは金額が増加しています。養育費をもらう側(多くは妻側)にとっては有利に、支払う側(多くは夫側)にとっては不利な内容となっています。

 16年前より物価が上がっていることや、従前の養育費では子どもを育てるのに少なすぎるという批判があったことが理由でしょう。

 具体的にいくら増えたのかは、それぞれの年収によって異なるので、一律には言えません。
 
 いくつかのケースで試算してみたところ、子ども1人あたりの月額で、5,000円~1万円程度増加していました。

 もし、離婚を考えている方が古い本で養育費をみていると、話し合いや調停で適切な対応ができないので、裁判所のホームパージで養育費、婚姻費用算定表を確認するようにしましょう。
        ↓
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/

 これから新算定表が調停で運用されますので、その実務経験から、実態について、またお知らせしたいと思っています。

 それでは、本年もよろしくお願いいたします。

 

離婚の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ           にほんブログ村 地域生活(街) 中部ブログ 静岡(市)情報へ
にほんブログ村


カテゴリー: 離婚のお話 |

裁判で証拠を得る方法には何がある?

あっという間に年末ですね。

 

今年の12月は28日が土曜日なので、そこから年末年始に入られる方も多いと思います。

 

あと、もうひと頑張りですね。

 

さて、裁判調停を起こしたときに、相手が預金や保険などの財産を裁判所に出さないことがあります。

 

民事の裁判や調停の第一の目的は紛争の解決です。

 

でも、証拠の提出を拒否したり隠した者勝ちとなってしまったら、世の中の人が裁判や調停そのものを信頼しなくなります。

 

そうなると「信頼できない国家機関は必要ない」ということになりかねません。

 

そこで、法律は、このような場合に証拠の提出を受けられる方法を用意しています。

 

例えば、相手が明らかにゆうちょ銀行に預金があるのに、それを隠しているとしましょう。

 

その場合には、裁判所に「調査嘱託」という手続を申し立てると、裁判所からゆうちょ銀行の預金残高や履歴について開示するよう申し入れをしてくれます。

 

ゆうちょ銀行は、もともとは国の機関だったわけですから、このような裁判所の申し入れには応じてくれます。

 

ところが、昔から民間だった金融機関の対応はまちまちです。

銀行のイラスト(お金)

裁判所からの申し入れといっても「調査嘱託」任意の手続ですから拒否してもそれ自体が違法となるわけではありません。

 

そのためか、「預金者の同意が必要」という理由で回答を拒否する金融機関が少数ですが、いくつかあります。

 

弁護士の多くは、経験や噂でどこの金融機関が拒否しているのかは知っています(信用毀損にならないよう固有名詞は差し控えますが)。

 

さて、この拒否に意味があるのでしょうか?

 

拒否する金融機関は、預金する人に向けては守秘義務の徹底をアピールできるメリットがあるのでしょう。

 

しかし、拒否したとしても、裁判所は「文書提出命令」という強制的な命令を発動することができますから、結局は単なる時間稼ぎにしかなりません。

 

結果的に、預金を隠し続けて、最後の命令が出てバレてしまったら、それ自体で不利な判決は出ませんが、その当事者の全体的な信用はがた落ちでしょう。

 

他の主張や供述についての信用性にも一定の影響を及ぼすと思います。

裁判で証言をする人のイラスト(男性)

そのため、多くの弁護士は、どうせバレる預金を隠したりせず、裁判所に提出した方が良いとアドバイスします。

 

それでも、依頼者が提出を拒否する場合にはやむを得合う争うことになるのですが、あまり有利な争い方ではないと思います。

 

証拠隠しがまかり通るような裁判はできるだけ無くしていきたいものですね。

 

「裁判手続で知っておきたいこと」の過去記事はこちらへどうぞ。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ           にほんブログ村 地域生活(街) 中部ブログ 静岡(市)情報へ
にほんブログ村


カテゴリー: 裁判手続きで知っておきたいこと |

破産しても消えない債権~隠された債権

上着がいらないほど暖かかったのが、急に寒くなりましたね。

 

インフルエンザも強力になりそうなうわさを聞いているので、皆さんもお気をつけください。

 

今回は破産のお話です。

 

破産したときに裁判所に出してもらう大切な裁判に「免責決定」があります。

 

これは借金などの債権の支払義務を消滅させる決定です。

 

ただ、あらゆる債権が消えるわけではありません。

 

消えない代表格として税金国民健康保険料などの公の費用があります。

 

これらの支払いは、日本で国からサービスを受けていた以上、消えません。

 

滞納している税金の額が大きな時には税務署や市役所などで、分割払い(分納)の相談に行くことになります。

 

消えない債権は他にも色々ありますが、注意しなければならないものとして隠してしまった債権があります。

 

裁判所の破産の申立をするときには、お金を借りている銀行や消費者金融などの債権者を名簿として提出しなければなりません。

リストのイラスト

これを債権者一覧表と呼んでいます。

 

破産するときにはギリギリの状態ですから、妻・親・親戚・友人などから借入をしていることも珍しくありません。

 

こんなとき、破産手続に巻き込みたくないという理由で債権者として裁判所に提出を避けたい気持ちがあることは理解できます。

 

でも、お金を借りていれば、親子でも夫婦でも、銀行などと同じ債権者です。

 

破産手続ではしっかりと債権者として届け出る必要があります。

 

これを隠すと、その債権が免責決定で消えないだけでなく、免責決定そのものを出してもらえません

 

破産はしたのに借金は残る……それでは意味がないですよね。

 

どうしても、家族を巻き込みたくなければ、債権者となっている親や妻にその債権を正式に放棄してもらう必要があります。

職場見学のイラスト(家族・お父さん)

私の事務所でそれをやるときは、書面でしっかりと債権の額や貸付日などで特定した上で、放棄することを書いて署名捺印していただき、裁判所に提出して報告するようにしています。

 

そこで、裁判所が債権放棄を認めてくれれば、破産手続から外すことも問題ないことになります。

 

「迷惑をかけたくない」という気持ちは分かりますが、破産申立を頼んだ弁護士に、債権者を隠していると、せっかくの破産に意味がなくなることもあります。

 

なお、破産のときだけでなく、裁判のときにも、依頼した弁護士に隠し事をすると、後で取り返しがつかないことになるので、ご注意を。

 

 

借金問題ご解決方法についてはこちらをご参照ください。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ           にほんブログ村 地域生活(街) 中部ブログ 静岡(市)情報へ
にほんブログ村

 


カテゴリー: 債務整理、自己破産、個人再生など借金問題のお話 |

相続のときに使途不明金はどう扱うの?

この秋は荒れた天気や寒暖の差が激しくて厳しいですね。

 

台風で被害にあわれた方々のご苦労をお察しするとともに、できるだけ早く復興されるようお祈りします。

 

今回は相続における使途不明金のお話です。

 

相続のときに、亡くなった方の通帳をみると、何のために使ったのか不明なお金が出金されていることがあります。

 

これを使途不明金と呼びます。

 

このお金を遺産を分けるときにどのように取り扱うのかが最近ではよく問題になるようです。

 

例えば、お母さんが亡くなったときに、お母さん名義の預金からキャッシュカードを使って毎日50万円ずつ出金があったとします。

 

これが10日続けてあれば、確かにおかしいですよね。

 

毎日50万円が必要ということは、普通の生活をしているとほとんどないと思います。

 

また、出金額の500万円を使ったとすれば、家のリフォームとか、何か大きなことがないと不自然です。

 

そこで、この使い方が不明なお金(使途不明金)が一体どこにあるのか?

 

どのように取り扱うのかが問題となるのです。

通帳とキャッシュカードのイラスト

まず、誰がキャッシュカードでおろしたのか分からない場合には、話し合いでは解決できません。

 

相続する方々の間で「疑いはあっても証拠はない」というような場合です。

 

この場合には話し合いがつかなければ、引き出した人を民事裁判で訴えるしかありません。

 

ただ、訴える方が無断引き出しの事実を証明しなければならないので、裁判で勝つには相当ハードルが高いです。

 

では、引き出したのはお母さんで間違いないけれど、その500万円を相続人の1人にあげていたという場合はどうでしょう?

 

この場合には、お母さんから遺産の前渡しを受けたという形になるので、特別受益といって、遺産に戻して再計算することになります。

 

つまり、AさんとBさんの2人が相続人の場合、Aさんだけがお母さんから500万円もらっていた場合には、その500万円をお母さんの遺産に上乗せしてから(持ち戻し)、遺産を分けることになります。

 

これによって、Aさんだけがトクをするという不公平な状況を直すのですね。

 

では、お母さんが亡くなった後に引き出しがあった場合はどうでしょう?

 

この場合には、お母さんの通帳を誰が預かっているかは分かるので、「その人が引き出したお金を自分のために使ったのか?」が問題となります。

 

例えば、お母さんの入院費や介護施設の使用料の支払に使ったとか、お母さんの借金の返済のために使ったという場合には、正当な使用なので文句を言うことはできません。

 

問題になるのは、通帳を預かっている人「自分のためには使っていないが、細かく何に使ったのかは分からない」と言った場合です。

 

これは二つのパターンに分けることができます。

 

 お母さんと一緒に住んで世話をしていた子が通帳を預かっていた場合、全てのお金の使い道について帳簿をつけてはいないのが普通ですから、細かく説明できない場合はあるでしょう。

 

逆に、

 

② 本当は通帳を預かっている人が自分の遊びやお母さんと関係のない費用のために使ってしまったのに、「分からない」ととぼけている場合です。

 

よくあるのは、①の主張②の主張相続人の間で対立することです。

 

この場合、相続人の方々で話し合いで和解することは難しいので、民事裁判で解決していくことが多いです。

 

この裁判でも、どこまで証明できるかという証拠の問題はあります。

 

ただ、通帳から出金した人が分かっているので、誰が出金したか分からないという場合よりは、証明できる可能性は高まります。

 

相続で問題が起きたとき、一番事情を知っている人は亡くなったお母さんです。

 

ですから、お母さんの霊を呼び出せれば最強の証人となるので、相続の問題は半分以下に減ると思います。

でも、法廷で霊に尋問するのは失礼な気もするので、私としては避けたいような・・・

 

 

相続の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ           にほんブログ村 地域生活(街) 中部ブログ 静岡(市)情報へ
にほんブログ村


カテゴリー: 相続のお話 |

再婚したときに養育費はどうなる?

昨日、今日と静岡では突然の雷と雨に困った方が多いのではないでしょうか。

 

私もうっかり傘を持たずに出かけてしまって、少し雨宿りをしました。

 

そさて、よくご相談の時に受ける質問に

「離婚した後に、夫(妻)が再婚したら養育費はどうなるのですか?」

というものがあります。

 

離婚したときに妻が親権者となって子供を育てていることを前提に考えてみましょう。

赤ちゃんをくすぐる親のイラスト

 

まず、元夫が再婚したとします。

 

この場合、再婚しただけでは養育費には影響ありません。

 

影響があるのは、再婚後新たに子供が生まれたり元夫が再婚相手の子供と養子縁組をしたときです。

 

つまり、元夫の子供が増えたことになるため、一人当たりの養育費が減るということになります。

 

ここで注意しなければならないのは、調停・公正証書などで明確に決めた養育費であれば、自動的に減るわけではないことです。

 

夫の方から養育費減額請求調停を申し立てて、そこで減額が認められて初めて養育費の額が減ることとなります。

 

では、元妻が再婚したときはどうでしょう?

 

元妻が再婚しただけでは養育費は変わらないことは同じです。

 

しかし、子供と再婚相手とが養子縁組をすると、原則としては養親に第一次的な扶養義務があるので、元夫の養育費はゼロになります。

 

ただ、例外的にゼロにならない場合はあります。

 

分かりやすくわけると

① 再婚相手の収入が非常に少ない場合

又は

② 元夫に経済的に余裕がある場合

です。

 

の場合には、元夫は足りない分の生活費を養育費として負担しなければなりません。

 

の場合には、元夫の余裕がある生活を考慮して、養親が負担する費用に相当額を加算することになります。

 

ただ、やはりいずれの場合にも、元夫が養育費の減額(0円までの減額を含む)を調停で請求していかなければ養育費の額は変わりません。

 

ですから、相手が再婚したと聞いたときには、養子縁組をしたり、子供が生まれたりしていないかを確認することが必要でしょう。

 

その上で、元夫の方はできるだけ早く調停を申し立てる必要があります。

 

逆に、元妻の方は元夫との余分な対立を避けて減額調停をされないように注意する必要があるということです。

 

いずれにせよ、多くの子供が幸せに育てる環境を考えていきたいものですね。

 

離婚の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ           にほんブログ村 地域生活(街) 中部ブログ 静岡(市)情報へ
にほんブログ村


カテゴリー: 離婚のお話 |