離婚で話し合うポイントは?
協議離婚をするときには、どのようなことについて話し合ったら良いのでしょうか?
また、何か書面は作成した方が良いのでしょうか。
弁護士からのアドバイス
協議離婚は、夫婦当事者で話し合った上で、市役所等に届け出ることによって行うので、専門家が離婚にタッチしません。
ですから、離婚で持つ権利について、「離婚後では遅かった!」ということにならないよう、しっかりと話し合って、内容を書面化しておくべきでしょう。
離婚の時に、忘れずに話し合わなければならない(法律的に)重要なことことは、次の7個になります。
① 子供の親権者(しんけんしゃ)を誰にするか
親権者とは、子供の面倒を見て、子の財産や将来の大切なことを決める権利を持つ親を言います。
これまでは、父母のどちらかを親権者にするか決めなければなりませんでした。
2024年5月の民法改正が施行されると、離婚後も共同親権を選択することができるようになります。
そのため、離婚にあたって、父母いずれかを単独親権者とするという選択に加えて、共同親権という選択肢が増えたことになります。
今後、改正法が施行されたら、離婚で話し合うポイントが増えて、協議離婚のハードルが少し上がってしまうかもしれません。
② 子供の養育費(よういくひ)の金額と支払方法
子どもを監護していない(同居して育てていない)親(多くは父親)の方が、監護していない親よりも収入が多い場合には、両親の収入の程度に応じて、養育費を支払わなければなりません。
裁判所でのだいたいの相場が、インターネット上でも算定表として公開されていますので、一つの基準になるとは思います。
検索画面で「養育費算定表 裁判所」と打ち込めば、検索結果の一番上に裁判所がPDFファイルで見ることができる画面に行けますので、ご参考にしてください。
③ 子供との面会交流(めんかいこうりゅう)の方法と回数
子どもを監護していない親(多くは父親)も、親であることは離婚後も変わりません。
従って、父親等には、子供と会う機会を求める権利があります。月1回~2回程度又はふた月に1回程度などと定めることが多いようです。
④ 夫婦の財産をどのように分けるか
これを財産分与(ざいさんぶんよ)と言います。
夫婦の財産(例えば、土地・建物・預金・夫婦の生活のための借金など)について、その名義とは関係なく清算して分けるものです。
⑤ 慰謝料(いしゃりょう)の金額と支払方法
いずれかの浮気が原因で離婚する場合、夫による暴力があった場合などの場合には、その行為の内容の確認と慰謝料の金額・支払方法を定めておくべきでしょう。
⑥ 年金の分割の割合
厚生年金について、結婚生活中に支払った年金保険料の金額(報酬比例部分の金額)が多い方(多くは夫)の年金を分割し、少ない方(多くは妻)が受給権を取得する制度です。
法律では「分割割合0.5を上限とする」とうような書き方がされていますが、実務では、分割割合0.5が常識とされています。専業主婦の方は、安易に分割割合を譲らないようにしましょう。
特に、高齢になると、例え毎月年金が5,000円増えるだけでも生活が楽になることがあり得ます。先々を十分に考えて、ご自分の年金額を確保しておくことは、とても大切です。
⑦ 離婚前に別居する場合には、その間の生活費の金額と支払方法
この生活費のことを婚姻費用(こんいんひよう)と言います。離婚まで別居して生活していく場合、この婚姻費用だけでも決めておいて、毎月支払ってもらうと安心です。
以上の7個について、合意した場合、自分に有利な内容を書面にしておくと、後でトラブルになりにくいでしょう。
逆に、その合意の内容が自分に不利だった場合には、書面にしてしまうとかえって不利になりますが・・・
書面にする場合、 公正証書(こうせいしょうしょ)という書面を、各地にある公証役場へ行って作ってもらうケースも多いようです。
例えば、公正証書の内容として「強制執行を受けることを承諾する」旨の文章を入れると、お金の支払いについて強制的に取り立てができるなど、法律的に強い効力があります。
ただ、財産分与の内容などによって費用が異なりますので、事前に協議書案を作った上で、公証役場に相談に行って、大体の金額を確認しておいた方が安心でしょう。
全国の公証役場の所在地や連絡先は、「公証役場所在地」で検索すると、一番上に出てきます。ご活用してみてください。
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