目的物滅失等についての危険の移転

民法改正(令和2年4月1日施行)

目的物引渡後に滅失・既存が生じた場合の危険の移転と売主の担保責任との関係について明確に定めました。

 

目的物の滅失等についての危険の移転(567条)

(1)危険の移転時期は引き渡し時

旧法下では、双務契約において、目的物引き渡し後に、当事者双方の責めに帰することができない事由によって目的物が滅失又は損傷したときには、一方の債務の全部又は一部が当然に消滅することを前提として危険負担の規定が定められていました。

改正法では、目的物引き渡し時点を危険の移転時期と明確に定め、それ以降は買主はこれを理由とする担保責任の追及(追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求、契約の解除)をすることができません。

また、買主の代金債務は消滅しないため、売主は代金支払を拒絶することができません。

(2)受領遅滞の場合の危険の移転

売主が契約内容に適合した目的物を引き渡そうとしたのにも関わらず、買主がそれを受領せず(受領遅滞)、その後当事者の帰責事由なく目的物が滅失・損傷したときには、買主に引き渡した場合と同様の取り扱いをすることを定めました。

例えば、買主が受領遅滞に陥っている間に地震などの天災で目的物が滅失した場合には、売主は責任を負わず、全額の代金請求ができることになります。

 

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