贈与契約について

民法改正(令和2年4月1日施行)

贈与契約の条文の言葉を法的性質に合わせて修正するとともに、担保責任について売買の担保責任と整合性がとれるように定めました。

 

1 贈与規定の文言修正

贈与契約においては、自分の物を贈与することが多いですが、他人の物を贈与する契約も、契約としては有効です。

そこで旧法の「自己の財産」を「ある財産」に改正しました。これは、旧法下での裁判実務での運用に合わせて条文の文言を修正したものです。

また、書面によらない贈与は当事者が解消することができます。

この解消の意思表示を旧法では「撤回」(意思表示の撤回)としていました。

しかし、一旦成立した贈与契約の効力を失わせるという法的性質を考慮すると、契約を解除するとみるのが適切なためこれを「解除」に改正しました。

 

2 贈与者の担保責任(551条)

贈与契約は無償ですが、一旦約束した以上、贈与者は責任をもって履行しなければなりません。

そこで、贈与者は売主と同じく、種類、品質及び数量に関して契約に適合した目的物を引き渡す義務を負うことを定めました(2項)。

但し、無償で渡す人が、対価として代金をもらう売主と同じ担保責任では重すぎます。

そこで、贈与者は、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡せば、契約に適合した物を引き渡したことになるとされました(1項)。

これにより、例えば中古車を贈与した場合、もらった後に故障箇所が発見されても、もらった人(受贈者)は、贈与者に責任を追及できません。

 

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