民法改正(令和2年4月1日施行)
根保証契約について、保証人保護の趣旨などから見直しをしました。
1 根保証契約(保証人が個人)に極度額を設定(465条の2)
改正前の個人保証に関する貸金等根保証債務の規制を、それ以外の一般の保証債務にまで拡大して個人保証人を保護することとしました。
この極度額の定めは、書面または電磁的記録で、明確に分かるように極度額を定めなければ無効です。
例えば、賃貸借契約を個人が保証する場合、その極度額の定めは「賃料4ヵ月分」という内容では限度額が不明確なので無効となります。
この場合、上限の金額が分かるように、例えば「賃料月額10万円の4ヵ月分」というように定めることが必要です。
この極度額は、保証契約の時点で確定的な金額となっていることが必要です。
但し、確定期日についての定めについての「最長5年、定めがなければ3年」としている規律は貸金等根保証契約のみに適用されます。
2 個人根保証契約の元本確定事由を拡大(465条の4)
貸金等根保証契約に限定されていた確定事由の一部を個人根保証契約一般にも拡大して適用されるようにしました。
個人根保証の元本は、主債務者又は保証人が死亡したときに確定します。
なお、主債務者について強制執行・破産があっても貸金等根保証債務以外については確定事由とはなりません。
3 法人の求償債務を個人保証人しているときの規律(465条の5)
例えば、会社が借り入れをするときに、会社の関係者が連帯保証人となる場合があります。
このとき、信用保証協会など保証を業務とする法人が保証人となる場合、債務者(会社)への求償権の連帯保証人に会社の関係者がなります。
このような場合、保証人が法人(例えば信用保証協会)である根保証契約において、極度額の定めがないときは、その根保証契約に基づいて発生する求償債務の個人保証は無効となります。