宅地建物取引士の法定講習の講師をして

「宅地建物取引士」って聞いたことありますか?

 

実は、今まで「宅地建物取引主任者」=宅建免許と呼ばれていた資格を、今年(2015年)の4月から大幅に変更して、「宅地建物取引士」としたんです。

 

監督官庁としては、「宅地建物取引士」を士業の一つと位置付けて、試験の比重も法律科目を重視した上で、より信用性と倫理観を持って仕事をしてほしいという考えのようです。

 

宅地建物取引士の試験自体は今年が初めてです。

 

ただ、講習会でのカリキュラムについて

① 私が担当する「紛争事例と関係法令及び実務上の留意事項の講義時間が1時間30分から2時間に延長されたこと

② 「宅地建物取引士使命役割」という科目が新しく講習科目に加えられたこと

から推測できます。

 

この更新のための法定講習は、5年ごとに受けることが必要です。

 

その法定講習はほぼ1日かけて行われ、典型的なスケジュールと科目は、次のように組まれています。

 

・9:30~11:30   紛争事例と関係法令及び実務上の留意事項

・11:40~12:40  改正税制の主要な改正点と実務上の留意事項

・13:30~14:10  宅地建物取引士の使命と役割

・14:20~15:50  改正法令の主要な改正点と実務上の留意事項

・16:00~16:30  受講者参加型講義

 

この講習は、静岡県から委託を受けて、「公益社団法人 全日本不動産協会」と「公益社団法人 宅地建物取引業協会」の2団体が開催しています。

 

回数は、年に4~5回で、県内各地で実施しています。

 

私は、前者の「公益社団法人 全日本不動産協会」で、法律科目の講師を約5~6年前(2015年4月現在)から行っています。

 

講義内容としては、不動産に関するトラブルの解決方法法律について、できるだけ分かりやすく、楽しくお話しするよう心がけています。

 

ただ、受講する方の中には、不動産業を長年経営している方も多いので、不動産取引実務と異なることを言ってしまうと、信用を失ってしまうので、しっかりと準備はしていかなければなりません。

 

ただ、私が裁判所から「破産管財人」という社長に代わって会社を清算する仕事を数多く引き受けているため、自分で不動産を売ることも多いんですね。

 

その仕事が、講義をする時に、とても役に立っています。

 

私が法定講習をやる中で、目標は二つあります。

 

1 講習受講者を絶対に眠らせないこと

 

2 私が講義を終えたときに、受講者の方々から自然に拍手が出るような講義をすること

 

です。

 

受講者を眠らせないためには、不動産の取引の仲介や売買、賃貸する時に、ミスをするとどれくらい商売に影響するか、どれくらいの損害賠償の義務を負うかをリアルに話します。

 

たとえば、「不動産業者の方が、仲介に失敗しただけで、いきなり1億円の支払いを判決で命じられたケースがあります」などと言って、目をさましてもらうんですね。

 

ちょっと、脅しっぽいかもしれませんね。

 

また、「拍手」をいただけたかどうかは、その日の自分の講義内容が聞いている方にとって役に立ったかどうかのバロメーターとして大切だと思っています。

 

最初の頃には、拍手をいただけないこともありましたが、少しずついただける回数は増えてきて、今ではほとんどの場合に拍手をいただけるようになりました。

 

私の経験だと、不動産業者の方の食いつきが良いのは、

① 業者間売買や仲介の時に、業者の責任が問われた裁判例のお話し

② 裁判例で指摘されている業者の説明義務などの注意事項のお話し

③ 民法改正見込み(2015年4月時点)で、不動産の賃貸・売買に関連する分野のご説明

などでしょうか。

 

せっかく講義をするのですから、出席された業者の方には、講義を楽しむとともに、「ここへ来てトクした!」と思っていただきたいのです。

 

この講義の場も、不動産業者の方の信頼もいただきつつ、自分の勉強にもなる貴重な場だと、私は考えています。

 

「講義をしていて思うこと」トップへ


カテゴリー: 講義をしていて思うこと   パーマリンク

コメントは受け付けていません。