【交通事故の基本知識】 被害者なのに過失を追及されることが!
バイクに乗っていて、交差点が青信号だったので、直進したら、突然右折してきた対向車の自動車と衝突してしまいました。
右折する方に注意をする義務があると思いますが、私にも過失があると言われてしまいました。本当なのでしょうか。
弁護士からのアドバイス
交通事故では、過失相殺(かしつそうさい)といって、加害者と被害者の過失の程度によって、どの程度損害を分担しあうかの計算をします。
例えば、交通事故の時に「10対0で向こうが悪い」「20対80でこちらが悪い」などと主張することがあると思います。
これが過失相殺をどの程度するのかという話になります。
自動車の運転免許を所有している方はご存じだと思いますが、この事案のように直進車と右折車では直進車が優先になります。
とすると、直進していたバイクには過失はなかったように思えます。
しかし、対向車が右折するのは見えるので、絶対に避けられないというわけではないということで、直進車にも過失が認められるのが基本です。
この事案では、85対15の割合で相手の過失があるとなるのが基本的な基準となります。
もちろん、個別の事情によって、この過失割合は変化します。
例えば、右折車が猛スピードで右折したなど右折車に悪い事情があれば、過失割合が95対5程度になったりしますし、直進車が法定速度を時速30km以上オーバーする速度で走っていた場合には、65対35程度になったりします。
ここで、損害額の計算をしてみましょう。
例えば、バイクの損害額の合計が傷害による損害や物損を含めて1,000万円、相手の自動車の物損が100万円だったとします。
自動車の方の過失割合は85ですから、1,000万円の損害のうち850万円を自動車運転手が負担することになります。
これに対して、自動車の損害100万円のうち15%はバイク運転手の過失として負担しなければなりません。
従って、以下の計算式となります。
(1,000万円×85/100)-(100万円×15/100)=850万円-15万円=835万円
835万円がバイク運転手が請求できる金額です。
被害者の方は、過失割合についても、加害者が加入している保険会社の担当者と話をされることが多いと思います。
この際、保険会社の担当者は「判例タイムズ」という雑誌のコピーを提示して、当然のように過失割合を決めつけてくることがあります。
しかし、交通事故には個別の事情がありますから、必ず「判例タイムズ」の割合で過失割合が決まるわけではありません。
例えて言うのであれば、養育費の簡易算定表と同じように、一つの目安として提示されるものに過ぎません。個別の事情によって、5~10%、過失割合が動くことが珍しくないのです。
正当な損害額の賠償を受けるためには、加害者側の保険会社の担当者からの提示書類を持って、弁護士に相談して判断することが必要になると思われます。
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