犯行を認めた「悪い人」までどうして弁護しなければならないの?

よく新聞の記事で、「犯罪事実否認した」とか「認めている」とか書いてあることがありますね。

 

「否認した」というのは、警察や検察官が疑っている犯罪について、「自分はやっていない」と認めないことです。

 

このような事件を「否認事件」と呼ぶことがあります。

 

「認めている」というのは、逆に、疑われている事実を認めていることです。

 

このような事件を「自白事件」と呼んだりします。

 

実際の刑事事件においては、「自白事件」の方がずっと多いです。

 

そうすると、自白している被疑者・被告人は「悪い人」なので、特に弁護しなくても、法律のとおり刑罰を決めていけば良いとも思えます。

 

でも、日本の刑法(けいほう~刑罰について定めている法律)は、とても刑の幅が広いので、犯罪事実を認めれば、刑罰も自動的に決まるというものではありません。

 

例えば、窃盗(せっとう~ドロボウのことですね)の場合、刑罰は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。

 

そうすると、一番重い場合には、10年間も刑務所に行かなければならず(加重される事情があると上限はもっと重くなります)、一番軽い場合には1万円の罰金もあり得るわけです。

 

実際には、そんなに極端に重かったり、軽かったりすることはありませんが、犯罪をしたときの事情情状~じょうじょう)によって、大幅に刑罰の重さが変わることは事実です。

 

そして、警察や検察官は、まずは被疑者・被告人の悪いところをあぶり出すのが仕事です。

 

なので、そこで作成された調書や証拠には、被疑者・被告人の「やむを得なかった面」や「この点は理解できる」という部分が現れないことが多いのです。

 

そのまま、裁判に突入して判決をもらうことにすると、その悪い事情だけをもとにして、刑罰の重さ(これを「量刑りょうけい」と言います。)がさだめられてしまうことになります。

 

そうならないように、弁護人がついて、警察署などに接見に行って話しを聞いたり、調書を読み込んだりして、より量刑を軽くする事情に見落としが無いかさがしていきます

 

そして、裁判でその事情を裁判官や裁判員に説明していくんですね。

 

この弁護人の活動があってこそ、適正な量刑ができるとも言えます。

 

皆さんが裁判員になられたら、是非、弁護人の説明や主張にも耳をかたむけていただければうれしいです。

 

刑事弁護についての基礎知識についてはこちらをご参照ください。

 

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カテゴリー: 刑事事件のお話

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