寄与分の主張の工夫は

梅雨に入って、雨や曇の日が多いですね。

最近、私(谷川)は運動をかねて、低めの山に行くようになりました。

まずは日本平から始めました。

日本平は、静岡市の南に位置し、その山頂に続く丘には、静岡大学や静岡県立大学など様々な施設があります。

市内から車で行くとあっという間なのですが、歩くと距離感も違い、頂上では知らない観光地に行ったような気分になれました。

とはいえ、標高は307m……

人に話すときには「登山」とは言わず、「ハイキング」と言うようにしています。

 

さて、遺産分割調停を行うとき、認められにくくて苦労するものの一つに「寄与分」があります。

特別受益の場合、例えば亡くなった方(被相続人)から贈与を受けていたりすると、金銭の流れや書面などの証拠があったりすると認められることは珍しくありません。

ところが、寄与分の場合には、それを直接証明する証拠はないことが多く、また被相続人のために努力しても「特別の」寄与でないといけないため、苦労するのです。

少しでも、裁判所で認めて貰うためには、ただ「特別の寄与」と主張するよりは、実務上の類型を意識するという工夫がお勧めです。

一般には5つの類型に分けられるとされています。

 

1 家業従事型

 亡くなった方が、農業、漁業、製造業など事業をしているなどの自営の場合に、その業務を助けていた場合を言います。

 ただ、業務にふさわしい給与をもらっていたというような場合には「特別の寄与」にはあたりません。

 全くの無償とか、世間一般の給与と比べると著しく低いとかいう場合に、寄与分が認められることになります。

 

2 療養看護型

 亡くなった方のために、看護をしていた場合です。これは良く主張されます。

 ただ、これも「特別の寄与」でなければならないので、ある相続人が頑張って面倒を見たことにより、本来は支出されるはずだった介護などの費用の支払を免れたために、遺産が減らないで済んだというような関係が必要です。

 そのため、特に介護まで必須でない被相続人の生活を助けていただけでは、「特別の」寄与ではないとされてしまうのですね。

 

3 扶養型

 これも上の療養看護型と似ていて、相続人の一人が被相続人の生活の扶養をしていて、それをしなければ被相続人の遺産が減っていたというような場合に認められるものです。

 そのため、一緒に暮らしていたというだけでなく、毎月金銭を渡していたなどの事情が必要となります。

 ところが、家族の間だと振込ではなく、現金で不定期に渡していたりするので、その場合には証明のハードルが上がります。

 本当に助けていたのに、それが認められないと非常に歯がゆい思いをされるとは思います。

 ひょっとしたら、これからの未来では、PayPayなどの電子マネーで送金していれば、送金履歴が残るので証拠となっていくかも。

 

4 金銭などの出資型

 相続人が被相続人に、財産上の給付や利益を付与する場合です。

 ありそうな事案としては、子どもが、親の家屋の新築やリフォーム、借金の返済などのために金銭を援助するような場合です。

 これも、現金でやりとりしていると証拠がないという問題が起きるので、扶養型と違って領収書をもらいやすいケースでしょうから、これから援助する方はもらっておくことをお勧めします。

 

5 財産管理型

 これは相続人が、被相続人の財産を管理することで、その財産の維持などに寄与した場合を言います。

 例えば、被相続人の住んでいた建物につき倒壊の危険があったので解体したとか、被相続人の賃貸物件を管理して賃料(これは遺産になります)を確保していたなどです。

 

 いずれにせよ証拠を取得できるのは、被相続人が生きている間だけなので、もし証拠が少ないということであれば、上の5類型を意識して主張していく工夫をしてみると良いでしょう。

 

相続の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。

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カテゴリー: 相続のお話

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