偽訴訟の詐欺ハガキを郵送してもいいの?

急に涼しくなって、秋らしい気候となってきましたね。

 

ちょうど良い気温がしばらく続いて欲しいものです。

 

さて、以前、私(谷川)のところにも偽の訴訟通知のハガキが届いていたことはお話しました。

 

静岡市だけでなく、隣接する焼津市・藤枝市・島田市あたりの方からもご相談を受けることがあるので、静岡県内でもこのような詐欺が頻発していたようです。

 

「民事訴訟告知センター」なるところから、裁判をおこされていて給与や不動産の差押えをするというような内容です。

詳しくは↓の記事をご参照下さい。

訴訟最終告知の葉書でビックリ

 

このハガキ、最近は封筒でも届くことがあるそうです。

 

東京都消費生活綜合センターや共同通信の記事で注意喚起がされています。

 

確かに、ハガキだと怪しい感じが強すぎることや、色々な人の目に触れるので、家族から止められたりし易いので、本人だけが見るような封筒にしたのでしょう。

 

そう考えると、郵便局の人がハガキを見て「詐欺だ」と気づくこともあるでしょうから、そんなハガキを郵送して良いのか?という問題はあります。

 

実際、警察関係からは犯罪予防のために、日本郵政が対応すべきとの意見も出ているようです。

 

しかし、ここで大切な権利の問題が出てきます。

 

私たちの「通信の秘密」(憲法21条2項後段)を侵害しないかという問題です。

 

もし、日本郵政にハガキの内容から、詐欺か?詐欺でないか?の判断をさせるとしましょう。

 

そのためには、ハガキの文書を呼んで判断しなければなりません。

 

つまり、私たちの出すハガキの内容を郵便局員が読むことが前提となるのです。

 

通信の秘密は、プライバシー権表現の自由守るために非常に重要な権利です。

はがきを読む人のイラスト(女性)

これが法律で制限されているのは、例えば、

① 刑務所に入っている人の手紙を刑務所の管理者が検査するとき

② 破産した人の手紙を破産管財人が財産調査のために確認するとき

など極めて限定されています。

 

そのような場合と同じくらい、大切な権利を制限する必要があるのか疑問です。

 

また、私たちが友達同士だけがわかるジョークを入れてハガキを送ったら、「内容が不審」として返されてしまうかもしれません。

 

詐欺が横行しているからという理由で、ハガキの内容が適切かどうかの判断を日本郵政という郵便を独占する企業に委ねて良いのかは難しい問題です。

 

組織的にやってしまうと、やはり直接又は間接的に憲法21条2項違反となる危険があります。

 

そういう意味では、やはり報道や消費者センターなどで、情報提供していくしかないのでしょう。

 

ということで、ハガキはもちろん封筒であっても、全く心当たりがない訴訟の告知だったら、警察・消費者センター・近くの弁護士の無料相談などで確認することが大切でしょうね。

 

※ 詐欺の被害を防ぐためにお役に立つと思われた方は、リンクを共有していただければ。

消費者被害の一般的なご説明についてはこちら

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カテゴリー: 消費者の被害

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