破産者情報サイトに停止命令

報道によると、今日、東海地方の梅雨明けとなったということなので、静岡も梅雨明けということでしょう。

 

空には入道雲。確かに夏の風景が始まりました。

 

今年は、コロナウィルスの蔓延で本来の夏休みのように楽しめませんが、感染リスクを減らしながら心と体を休めさせる機会を持ちたいものですね。

 

さて、先月、7月29日に政府の個人情報保護委員会は、破産した人の氏名や住所など個人情報を、本人の同意なくインターネットの情報サイトにのせた2業者に対して、停止命令を出しました(7月30日・日本経済新聞)。

 

以前も、破産者マップという破産したり、個人再生したりした人の住所地に炎のマークを表記する地図がネットに出されて、問題になりました。

 

その破産者マップが話題になったとき、静岡県内の情報を確認したところ、私が担当した破産事件、再生事件の方々の住所に炎のマークがついていて「何とかしないと」と各弁護士と情報交換したことを覚えています。

 

このような掲載者は、官報(国が発行する情報公開の情報)から破産・個人再生した人を探して、情報を取得しています。

 

この情報の取得それ自体は、国の発行するものを見ただけなので、違法ではありません。

 

しかし、国が官報で情報提供しているのは、利害関係人に告知するためです。

 

例えば、会社が破産を申し立てる直前は取引先や細かな機械類などの資産を整理する余裕がありません。

 

そのため、破産申立をしたときに、

・本来は届け出なければならない取引先である債権者を漏らしたり、

・取引先から預かった物(商品や機械など)やリース物件の所有者への通知が出来なかったり

することもあります。

 

そこで、そのような利害関係を有する人に情報を提供するために、官報で破産したことやその会社名などを知らせているのです。

 

つまり、国としては、利害関係を持っている人が自分のために情報を使う限度で利用を認めています。

 

ところが、破産した人の個人情報をまとめたサイトを作る人たちは、自分自身が利害関係はありません。

 

おそらく、アクセスの多いサイト(しかもアクセスする人の類型を把握しやすいサイト)を作ることで、広告料収入を稼ぐことなどが目的でしょう。

 

広告が掲載されていない場合には、もっと違法な形で情報を売っている可能性もあります。

 

これを本人の同意なく行うことは、本人のプライバシーや生活を著しく害するものといえます。

 

本来、破産手続は、破産する人の財産の清算とともに、経済的な立て直し重要な目的の一つとしています。

 

それが、破産した人を簡単に把握できるサイトを作ったのでは、破産が終わっても就職や起業に悪影響が出てしまいます。

 

今回は、それを個人情報保護法という少し趣旨の異なる法律を使って、保護しようとしたものです。

 

このような違法なまとめサイトを作る業者は、海外のサーバーを使っているため、その特定が難しいです。

 

そこで、政府の委員会は、業者には公示送達という特別な方法で停止を通知するとともに、インターネット検索会社に対し、検索結果にサイトが表示されない措置をとるよう要請しました。

 

ひとまず、検索結果にサイトが表れなければ、URLをダイレクトで入力できなければたどり着けません。

 

結局、ほとんどの人が見ることができないので、効果は大きいでしょう。

 

2020年8月27日までに、業者がサイトの停止に応じない場合には刑事告発も予定しているそうです。

 

インターネットは、思わぬ形で他人の人生を台無しにしてしまうので、使う方も注意が必要ですね。

 

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