弁護士の育て方とは

今年のG.W.は良い天気が続いたということで、行楽に出かけられた方にとっては良いお休みだったと思います。

 

私は、例年より遅いタケノコが残っているということで、バーベキューがてらタケノコ掘りをしてきました。

 

食べるためのタケノコはこれくらいの大きさなので

急斜面でなければ掘るのにそれほど苦労しません。

 

ところがタケノコをそのまま放っておくとこれくらいの大きさになります。

 

 

そして、更に放っておくとこのような大きさになっていき、

 

最後は竹になっていってしまうということです。

 

タケノコと竹は子どもの頃良く注意して見ていたのですが、その中間のものを注意して見るのは初めてでした。

 

さて、弁護士1人、事務員1人で始めた私の事務所ですが、すこしずつ弁護士の数と事務員の数が増えました。

 

そうすると、私が何となく上司的な立場になります。

 

本当は、弁護士は1人で仕事をする方が効率も質も良い(事件への責任感がより強くなるのいう意味で)ので、適切な件数の仕事を独立して担当するのが理想的です。

 

もっとも、一人前に独立して仕事をできるようになるまでは、私が育てていかなければならないことは当然です。

 

そこで、上司としての心構えを学ぼうと、いくつか上司としての心得本を読んでみました。

 

そのうち「自分の頭で考えて動く部下の育て方」(著者:篠原信・文響社)という本に書いてあったことが参考になりました。

 

上司として指示待ち部下を作ってしまう典型的なパターンとして

① 一気に教えすぎる

② 自分でやってしまい過ぎる

③ 教えなさすぎ

の3つがあげられていました。

 

だと部下は指示を忘れてしまって、考える資料自体がないため、再度1個ずつ指示を聞いて仕事をすることになります。

 

結局、指示通りのことしかしないというわけです。

 

は、上司が部下の前で全てやっているのを見せて、「じゃあ、同じようにやってね。」と指示するパターンです。

 

弁護士の仕事で言えば、作った訴訟の書面を見せて、裁判所に連れて行って横でみせて、「じゃあ、同じように」ということになります。

 

しかし、そのような体験は既に「司法修習生」という立場で勉強してきていますし、見ているだけで出来るような仕事は弁護士に限らず余りありませんよね。

 

結局、指示を1個ずつ確認しながら仕事をせざるを得なくなるということです。

 

は、上司としては簡単な仕事だと思って、「自分なりに考えてやってみて。」といってやらせることです。

 

「これくらい出来るだろう。」と思って新人に考えてやらせてみたら、そのやり方を確認して仰天した経験を持つ上司は私だけではないと思います。

 

そのような場合、上司は結局「一から指示をしなければダメだ」と文句ばかりつけることになってしまい、結局指示待ちの部下を作るということです。

 

では、どのような方法をとれば自分の頭で考えてくれる部下を育てられるのでしょうか?

 

その本によると「質問」がポイントのようです。

 

仕事のやり方やアイデアについて、質問攻めにして、上司が良いと思った方法にたどり着いたときに、「おっ、その方法良いね」といってやらせてみる。

 

ヒントは出しても答えは絶対に教えないで、自分で見つけ出す形で指導すると部下は自主的に仕事をしたという意識になりますから、気分も良いし、仕事の習得も早いとのことです。

 

そして、自分で答えを出していますから、その過程で頭を使っているということで、応用も利くのでしょう。

 

これは弁護士の仕事にも応用はききそうです。

 

例えば、裁判であれば、相談を一緒に聞いた新人弁護士に、「今の事件であれば、訴状でどのような法的構成をする?」などと質問をします。

 

その答えに問題があると思えば、「他に方法はないかな?」とか「〇〇という事例に似ているよね?」などというヒントを出してみます。

 

大筋で間違いの無い方向で考えられるようになったら、訴状を作らせるということになります。

 

今お話したのは①訴訟事件に分類されますが、弁護士の仕事には、他にも交渉事件や財産管理事件などがあります。

 

例えば、破産管財事件だとすると、会社の社長に代わって会社の清算をしていって、最後に債権者に配当をしていかなければなりません。

 

その中では、様々な法律問題やアクシデントが起きます。

 

給料の未払があれば、未払賃金立替払い制度をどのように利用するか?

 

不動産を売却しなければならないとき、土地に有害物質があったらどのように処理したら良いか?

 

不動産に担保がついていたときに、債権者と担保を外す交渉をどのような切り口で行うべきか?

 

取引先が勝手に工場の機械を引き上げていかないかどのように監視すれば良いか?

 

などなど、事件によって様々な問題が生じてきます。

 

そのため、このような対処の方法が全く決まっていない事件については、教えることの難しさを感じます。

 

新人を育てるときにも、訴訟や調停などは、ある程度の段階で一人だちさせられますが、交渉事件や破産管財事件については、1~2年では適切な対応は難しいように感じます。

 

しかし、誰でも新人の時期はありますので、私も上司としての覚悟を持って新人弁護士を自分の頭で考えられるように育てて、事務所内で刺激しあえる関係を作っていきたいと思います。

 

それが、相談者、依頼者のお役に立つ最も良い方法だと思います。

 

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