コンビニ人間と法律

お盆休みに入られた方も多いのではないでしょうか。

 

長めの休みは、いつもはできないことを少し出来て良いですよね。

 

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さて、今回は雑感を少し。

 

ちょっと話題になっている最近の芥川賞受賞作品に、「コンビニ人間」という本があります。

 

著者は、村田沙耶香氏(出版:文藝春秋)です。

 

芥川賞作品というと、難解でとっつきにくい印象がありますが、この本は相当読みやすいです(これから読もうという方は、感想が入るのでここで終わりにしていただければ)。

 

文章自体に難しい言葉がないのに加え、舞台の殆どがコンビニと自宅アパートということもあって、イメージしやすいことが一つかと思います。

 

刑事事件をやっている弁護士であれば、ピンと来るのですが、主人公はいわゆるアスペルガー症候群に分類される特徴を持っています。

 

普通の親子関係なのに母親を毒殺しようとした女子高生、仲の良い友人を殺してしまった女子高生など、時折、世間を騒がせる事件があります。

 

これらの女子高生は、いずれも知能が遅れている訳では無く、むしろ成績は良い方で、ただ「どうなるか興味があった」ということが動機となっています。

 

これらの女子高生を「異常」と決めつけたり、「アスペルガー症候群」と病気のように分類してしまえば、私たちとは違う「普通ではない人」と思って安心かもしれません。

 

この「コンビニ人間」は、そういう普通と異常の境界線が曖昧なことに鋭く切り込んでいます。

 

普通の人のように描かれている主人公の妹、友人、コンビニの同僚の「普通性」を大きくデフォルメ(意識的に変形)することで、読者が主人公に共感しやすいように工夫しています。

 

主人公の発想で、ちょっと背筋が寒くなった部分を抜き出してみます。

 

「赤ん坊が泣き始めている。妹が慌ててあやして静かにさせようとしている。

 

テーブルの上の、ケーキを半分にする時に使ったナイフを見ながら、静かにさせるだけでいいならとても簡単なのに、大変だなあと思った。」

 

まさに、「早く目的地に着くためには、歩くより自動車の方が早い」という理屈を、そのまま「子供を静かにさせる目的のためには・・・」という場面でも使っています。

 

ここで抜け落ちているのは理論的な部分ではなく、むしろ私たちが「常識」と読んでいる非論理的な部分なんでしょうね。

 

そうすると「常識」って何?その常識を規則にした「法律」って何?という疑問にぶちあたります。

 

色々な考え方があるでしょうが、特に考えなくてもコンビニのストーリーとしても楽しめるので、「お盆休みに何を読もうか?」と考えている方にはお勧めです。

 

それでは、良いお盆休みをお過ごしください。

 

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カテゴリー: ご報告や雑感

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