相続人でない人が亡くなった人のためにしたことは「寄与分」になる?

先日、静岡地方裁判所の富士支部に裁判に行ってきました。

 

静岡市でも富士山は見慣れていますが、さすがに富士山のふもとの市だけあって、大きさが違います。

富士市の富士山

 

気候も暖かく良い天気だったので、帰りに富士川サービスエリアによってスターバックスで一服しました。

富士川SAのスタバ

 

 

 

 

 

 

 

このように自分の気分で、ちょっとした自由を楽しむと、とても良い気分転換になりますね

 

さて、今回は相続についてのお話しで寄与分きよぶん)について、知っておいて損は無い知識についてご説明しようと思います。

 

ちょっと事例の把握に難しい所もありますが、知っていると相続の時に役立つ人も多いと思います。

 

寄与分については、以前にもお話ししたことがありますね。

 

遺産分割の時に、「特別の寄与を亡くなった人(被相続人)に対してしていた人は、その寄与した経済的価値(金銭)相当する額全体の遺産から差し引いて、その人だけが相続できるという制度です。

 

寄与という言葉を国語辞典でひくと、「あたえること」「人のために力を尽くすこと」という説明が出てきます。

 

つまり、亡くなった人のために「あたえること」「力を尽くすこを」を指すのですが、それが遺産分割の場面で主張される以上、その内容は金銭に換算できるようなものでなければいけません。

 

「被相続人が亡くなるまで、一生懸命傍にいて励ました」というだけでは寄与分としては評価されません。

 

そこは言い方を変えて、「被相続人の付き添い看護をしていたため、もし自分がいなかったら付き添い看護費が〇〇円かかった」と主張することが必要でなんですね。

 

そして、その「〇〇円」という額を実際に証明する資料と保管しておくことが必要です。

 

付き添い看護でいえば、施設や病院での訪問記録、高速道路を利用していればそのETCの記録などである程度は立証できるでしょう。

 

そして、遺産分割調停では、証明したとしても、その全額が認められることは少なく、その一部分を調停委員と裁判官が評議して勧告されることが多いという実感があります。

 

さて、この寄与分、相続人が子の場合だけではなく、例えば父親(被相続人)より息子(相続人)が先に死亡してしまった場合には、孫が代襲相続人(だいしゅうそうぞくにん)となり、孫自身の寄与分は認められることに問題ありません。

 

では、孫が通学しており、祖父母の世話はできず、結局、亡くなった息子の妻(孫から見ると母親)が世話をした場合に、これも孫の寄与分と見ることができるのでしょうか。

 

この場合、息子が死亡した時点で、夫婦関係は解消されますので、息子の妻(孫の母親)は息子の父親の相続人ではありません。

 

ですから、世話をして息子の妻(孫の母親)自身は、「寄与分」として何かもらえるわけではありません。

 

寄与分をもらえるかどうかは、孫たちと父親の妻(孫から見て祖母)について考えるしかないんですね。

 

東京高裁で決定をした事案で考えてみましょう。

 

この事案では、被相続人農業をやっていて、高校に通う孫も農業を継ぐ予定でした。

 

そして、孫が農業を継ぐまでの間は、なくなった息子やその妻(孫の両親)が農業をやって、被相続人の土地を維持したり、貯金額を増やしていたんですね。

 

では、孫自身が何もしていなかった場合でも、亡くなった相続人父親)や相続人でない息子の妻孫の母親)の寄与は、孫の寄与と見て良いのでしょうか。

 

東京高裁は、これを肯定しました。

 

つまり、亡くなった相続人はもちろん、相続人でない者であっても、その寄与が亡くなった相続人の寄与と同視できるときには、代襲相続人)の寄与分として考慮することができるとしたんですね。

 

この場合、被相続人が動けなくなってからも農業を維持して収益を上げてきたという分かりやすいケースだったので、寄与分が認められたこともあるとは思います。

 

ただ、相続人でない人でも寄与分として考慮される場合もあるので、頑張った人は、何かの権利が主張できないか、弁護士に相談された方が良いでしょう。

 

相続の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。

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カテゴリー: 相続のお話

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