素人の意見は法律相談で聞く必要はない?

この前の台風18号と19号はすごかったですね。

 

特に、静岡市では18号の被害が大きかったようです。

 

私の住んでいる所も、近くの川が、突然氾濫して、道路=川状態となってしまいました。

 

私の自動車がその川の近くに置いてあったため、このままだと「自動車が危ない!」という状況になってしまいました。

 

20年くらい前に、1度、水没で自動車を廃車にした経験があったため、溢れている川=道路の中を強引に、運転して移動しました。

 

私の自動車は、スバル・レガシーなので、車高が低めで、すぐに水が入ってきます。

 

氾濫する川、流れる木の破片、次々と流れてくる大きなゴミ袋(その日はゴミの日でした)を避けながら、頼りないエンジン音を聞きながら何とか水が届かない場所に移動できました。

 

徒歩で自宅へ戻る時にも、膝くらいの高さまである川の中を流れにさからい、漂流物を避けて、塀につかまりながら何とか戻れました。

 

まさか、自宅付近でいきなりサバイバル状態となるとは予測もできませんでした(笑)

 

車の被害を免れて気をよくしていた私は、「台風18号、面の皮を洗って出直してこい!」くらいの気持ちでした。

 

ところが、後々良く自動車を見ると、車体左側面に大きくへこんで塗装がはがれた傷痕が!

 

どうも、あわてて左折して自分の駐車場から出す時に左側の塀にこすったようです。

 

先日、スバルに行ったら、修理に約15万円かかるとのこと。

 

「やれやれ、やっぱり台風18号の被害者か・・・」と、がっかりでした。

 

台風が来るとろくなことがありませんね・・・

 

さて、本題にはいりましょう。

 

弁護士は法律の専門家であり、ご相談される方が法律の素人であることは間違い有りません。

 

そうすると、法律相談でも、質問するのはご相談者、答えるのは弁護士ということになります。

 

では、ご相談される方は、弁護士の話す流れの中で質問・事情説明をするだけにして、自分の希望や意見を言わない方が良いのでしょうか?

 

これについては、「ご相談者にご自分の希望や意見があれば、弁護士としては時間の許す限りで、聞いた方が良い」というのが私の意見です。

 

その理由は3つあります。

 

まず、1つめの理由は、ご相談にとどまらず、ご依頼をうけることになれば、かならず依頼者のニーズを聞かなければならないからです。

 

弁護士は、裁判官のように紛争の両当事者の主張を公平に聞く立場にはありません。

 

依頼者の方の味方になって、適法な範囲で、法律を目一杯使って、主張をしていき、依頼者の方にとってできるだけ良い紛争の解決のお手伝いをするのが仕事です。

 

そして、解決の結果を受け止めるのは最終的にはご相談者、ご依頼者に他なりません。

 

とすると、代理人であり、結果を受け止めることができない弁護士が、依頼者のニーズを無視して手続を進めて良いはずがありません。

 

したがって、ご相談の段階においても、弁護士は、ご相談者のご希望やご意見を聞く必要があると思うんですね。

 

その上で、法律の専門家として、要望に添えること、添えないことを、できるだけ明確に伝えるのが良いと思います。

 

2つ目の理由は、素人の意見とはいえ、そのご要望やご意見を何とか叶えられないかと頭をひねると、結構良い法的手段や条文・裁判例を見つける良いヒントになるからです。

 

また、最近では、ご相談者の方がインターネットから情報を事前に得て来ているケースも増えています。

 

確かに、インターネット上の情報は誤りや不正確なものが多いですが、公的な資格のある専門家のHPでは、しっかりとした情報を流しています。

 

そのようなHPから、事前に情報を依頼者の方が探して、プリントアウトしてきてくれたりすると、手間が省ける場合もあります。

 

依頼者の問題解決は、弁護士と依頼者との協同作業だと見れば、時間の許す限りで、ご相談者の知っている情報をできるだけ役立てて問題解決にあたるのが良いのではないでしょうか。

 

最後に3つめの理由ですが、法律相談でご相談者の考えや意見を聞くことで、大きなカウンセリング効果が生まれることです。

 

目の前の問題に切羽詰まって、「もう、どうしようもない・・・」と思っている時に、冷静に弁護士がご相談者の心配ごとや考えを聞いてくれるだけでも心強いです。

 

更には、弁護士から「法的にはこのような解決があります」と聞けば、「どうしようもない問題」が「解決可能な問題」に変わるんですね。

 

その変化は、ご相談者の心の負担を大幅に減らす作用があります。

 

その意味で、法律相談のカウンセリング効果は大きいと思っています。

 

例えば、相続問題で、この先紛争になるかどうか分からないで不安な場合に、弁護士に相談して、もし、ここで相続人の1人が「ハンコを押さない!」と言い出したら、どう解決するかを聞いておくだけでも将来の不安は小さくなると思います。

 

以上のことから、弁護士選びの基準として次のことが言えると思います。

 

まず、法律相談で、ご相談される方が自分なりのご希望やご意見を言ったら、しっかりした説明も無く、頭ごなしに否定されたということがあれば、そのような弁護士には依頼しない方が良いでしょう。

 

逆に、そのようなご希望やご意見に対して、結論としては「出来ない」ということをはっきりと言いながら、その説明を分かるようにしてくれる弁護士が最も良い弁護士だと思います。

 

逆に、仕事を欲しいがために、ご希望やご意見を何でも「出来ますよ」「大丈夫ですよ」と事情を良く聞かず、結論についての説明もなく、全て肯定する弁護士にも要注意です。

 

何らかの問題(経験の幅や能力が低い・依頼者に納得してもらえる仕事をしない結果リピーターや紹介が全く無いなど)で、仕事が来ない弁護士の可能性があります。

 

法律相談では、弁護士は依頼者から多くの情報を得ようとしますが、ご相談される方も弁護士の対応から多くの判断材料となる情報を得るようにしましょう。

 

「弁護士のお話」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。

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