福祉と法律

今日の静岡は暑くて、夏が近づいた感じです。


天気予報では午後から雨の予定でしたが、まだ何とかもっているようです。


私は、現在、静岡市の社会福祉協議会という団体の設置した「権利擁護センター」の所長をやらせてもらっています。


所長といっても、弁護士業務をやりながら、週に1回顔を出してアドバイスをしている形なので、顧問弁護士に近い立場かもしれません。


過去に、福祉の仕事に関わった経験があり、その方面に興味もあるので、センター立ち上げ時のお手伝いということで、やることになりました。


この権利擁護センターでは、高齢者や障害者が日常生活を自分で行うことのお助判断能力が低くなってしまった場合の後見などの仕事をしています。


福祉の仕事をしていると、弁護士が法律を使って処理するのとスタンスが大分違います


例えば、ある一人暮らしの高齢者の方が、年金収入から毎月多額のお金を同じアパートの隣人に持っていかれているとします。


その高齢者に、自分の財産は自分で管理するだけの能力はあるとします。


この場合、弁護士のスタンスでは、その高齢者から「隣人にお金を持って行かれて困ってしまう。何とかして欲しい。」と頼まれて初めて依頼を受けられることになります。


弁護士は、隣人に警告書を内容証明郵便で送ったり、裁判所の手続を使って、お金を取り返したり、今後の訪問を禁止させたりする方法を検討していきます。


これに対して、その高齢者が、「隣人にはとっても世話になっている。そのお礼と思っている。」と言っていたとします。


この場合、弁護士は依頼者から要請が無いので動くことはありません


ところが、福祉の仕事はそのような訳にはいかないんですね。


その高齢者に、福祉サービスの一環として関わっていた場合、「本人が良いと言っているんだから」と放置することができなかったりします。


特に、客観的に見て多額の金銭持ち去りが認められる場合には、高齢者本人を説得したり、隣人と話し合ったりあの手この手で本人のより良い生活の確保を目指します。


高齢者本人の「自己決定権」(自分のことは自分で決めるという権利)を尊重すると、弁護士のスタンスになります。


高齢者により近い立場から、生活の心配をしてやって、より良い生活を目指すと、福祉の立場になります。


弁護士の仕事は法律という大ナタを振るうこと、福祉の仕事には法律のすき間を埋めるという性質があるようです。


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