緊急事態宣言と裁判

コロナウィルス感染の増大を防止するために、一都三県で緊急事態宣言が出ましたね。

 

飲食店など一定の職種に限っての時短営業など、春先の緊急事態宣言よりも緩やかな内容となっているようです。

 

経済の維持と医療崩壊防止のバランスを考えたものでしょう。

 

春先は全国的に裁判所の期日が約1ヶ月間取り消されました。

 

一見、1か月間、裁判をやらないだけなので、大きな影響はないように見えます。

 

確かに、営業そのものが停止されたり、時短される飲食業と比べると影響は少ないでしょう。

 

ただ、この期日の取消の負担は、私たち法曹関係者には遅れて大きな負担となってきます。

 

なぜなら、期日が取り消されて裁判が止まっている間も、新たなご相談があり、裁判所に訴訟や調停の申立をしていくからです。

 

裁判、調停、自己破産、個人再生などの申立の中には、緊急性が高いものがあります。

 

早く進められれば良いのですが、裁判所での手続は、オンラインやテレワークで出来ないことが多く、結局全ての事件が遅れていくことになります。

 

その春先の遅れが、最近になって、やっと取り戻せそうになってきたところです。

 

もし、全国に緊急事態宣言が広がって、また期日が取り消されたら今度は取り戻すのに1年くらいはかかりそうです。

 

医療崩壊ほど直接命に関わる問題ではありませんが、やはり人と人との紛争や自己破産は、間接的には生死に関わることもあります。

 

全国に緊急事態宣言が広がっても、このような春先の苦い経験を味わっているので、裁判の期日取消まではされないのではないかと予想されます。

 

実際、緊急事態宣言が出されている、東京地裁などで期日を取り消したという話は今のところ聞いていません。

 

影響が少ないように見える裁判手続においても、実は、緊急事態宣言は重い負担となっています。

 

裁判所の手続といっても、普通の民事裁判では弁護士だけが出頭することが多いので、感染リスクは少ないと思われます。

 

ただ、ご本人が出頭されるときには、それぞれの弁護士が発熱などの体調不良がないか、ていねいにお聞きしています。

 

調停手続では、狭い待合室に長時間大人数が待っていることはリスクが大きいでしょう。

 

そのため、現在は、待合室の数を増やしたり、2時間の枠で行っている調停を短めにするなどして、感染防止を図っています。

 

当事務所でも、相談が終わる度に机を除菌したり、プラズマクラスター機能のある空気清浄機を置いたり、換気扇を1日中回し続けたりなど、感染防止の対策をとっています。

 

コロナ感染防止を徹底しつつ、経済を止めてしまわないように、それぞれが耐えて頑張っていきたいものですね。

 

「裁判手続で知っておきたいこと」の過去記事はこちらへどうぞ。

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カテゴリー: 裁判手続きで知っておきたいこと

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