自治会からの脱退って法律上許されるの?

プロ野球のニュースで、広島カープが25年ぶりの優勝をしたのを見ました。

 

若いカープファンにとっては初優勝くらい嬉しいかもしれませんね。

 

私は野球にそれほど詳しくないのですが、こんなに早く優勝が決まってクライマックスシリーズになった場合、昔、Jリーグで年間成績が3位以下のチームが年間チャンピオンになった時のような問題意識ってあるのかな?とふと考えてしまいました。

 

さて、今日は身近な自治会問題です。

 

今では、「自治会の役員が楽しくてしょうがない」という人は少数派のように思えます。

 

多くの人が日々忙しく働いたり、育児をしたりしているので、その中で自治会の役員というのは相当の負担ではあるでしょう。

 

もっとも、住んでいる周辺の人たちにはお世話になっているし、皆、大変な中役員をやるわけですから、自分だけが「嫌だ」というわけにはいかないのが現実です。

 

もちろん、私も自治会の役員(組長)をやった時には、葬儀の手伝いの手配や会合に出たり苦労した記憶があります。

 

では、「自治会から抜けたい」と申し出た場合、法律上有効なのでしょうか?

 

これについては、実は最高裁の判例があります。

「自治会の脱退は有効であり、脱退した場合には共益費は支払わなければならないが、自治会費は支払う必要はない」

というのが最高裁の判断です。

 

この事案は埼玉県新座市の県営住宅の自治会に入っていた入居者が、自治会の方針に異論があると言って脱退を申し入れたところ、自治会から共益費2,700円、自治会費300円の支払い請求を受けたものです。

 

最高裁の前の東京高裁では、その住宅に居住している以上、自治会による安全で良好な周辺住環境の維持や共同施設の管理、防犯活動の利益を受けているのだから、一方的に脱退して共益費自治会費を支払わないことは法律上許されないとしました。

 

何となく、これが常識的な判断のようにも思えますよね。

 

しかし、最高裁になると憲法上の権利から考えていきますから、結論が異なってきます。

 

つまり、私たちには、憲法思想・良心の自由結社の自由団体に加入しない自由も含みます)が保障されていますから、無理やり団体に加入させられることは原則としてできないのです。

 

ただ、弁護士や税理士のように公益的で私たち国民の利益に重要な影響を及ぼす仕事をするには、しっかりと業務状況を把握する必要があるので、弁護士会や税理士会に加入する義務があります。

 

つまり、いくら弁護士や税理士が会の方針に異議を持っていたとしても脱退すると仕事ができなくなるという意味で強制加入団体というわけです。

 

しかし、自治会は、会員相互の親ぼくを図ること、快適な環境の維持・管理や防犯、会員相互の福祉・助け合いを行うことを目的として設立されたもので、特に加入を強制する必要がどうしてもあるわけではありません。

 

そのため、最高裁では、憲法上の権利の原則通り、無理やり団体に加入させられることはなく、脱退することも自由だとしました。

 

その上で、共益費の2,700円は、例えば廊下やロビーの電球代や電気代、廊下・階段の手すりや駐車場の通行部分など住宅施設の保守管理費などに充てるので、分割して支払うことは難しいから、自治会を通じて支払うべきだとしました。

 

ですから一般住宅の自治会でもゴミ出しなどのために必要な管理費用は自治会を脱退しても支払わなければならないということになるのでしょう。

 

これに対して、毎月300円の会費は脱退した以上会員ではないので、支払わなくても良いとしました。

 

そうすると、自治会の役員もやらなくて良いことにはなります。

 

憲法上の権利から理論的に考えれば最高裁の判断は理解できます。

 

しかし、ほとんどの人が苦労して負担しあっていることを、自分だけが「嫌だ」と言ってやらない場合、近所づきあいは相当悪いものになってしまうでしょう。

 

例えば、地震や火事、洪水の時に、日頃から協力しあっている人たちは自然と助け合うでしょう。

 

しかし、自治会を脱退してしまった人は、近所の人からの連絡もないままで、危険を事前にを避けられなかったり、災害後に不便な思いをすることになりそうです。

 

この最高裁の判断を見て「良いことを知った!」と自治会を脱退するのは早計かもしれませんので十分ご注意を。

 

「日常生活の法律問題」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。

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カテゴリー: 日常生活の法律問題

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