盗難車が事故を起こした場合、所有者にも責任があるの?

今日は、東京では雪になるそうですね。

 

静岡は雨ですが、雪の降る地域の方々は十分お気を付け下さい。

 

さて、自動車損害賠償保障法3条では、「運行供用者」が損害賠償の責任を負うと定めています。

 

この「運行供用者」は、実際に運転している人だけでなく、運行について支配をして利益をあげている人も含みます。

 

例えば、会社の従業員が会社の自動車を仕事で運転中に事故を起こした場合、会社は「運行供用者」としての損害賠償責任を負います。

 

では、自動車が盗まれた場合に、泥棒が事故を起こした場合、被害者は、誰に責任を追及できるのでしょうか。

 

まず、運転をしていた泥棒が責任を負うのは当然です。

 

でも、泥棒はお金が無かったり、逃走して行方不明だったりして、実際に被害者に対する弁償はできないことが多いです。

 

そこで、被害者としては、自動車の所有者に対して、損害賠償の責任を追及したいと思います。

 

でも、自動車が盗まれた場合には、所有者は全く知らない者に運転して事故をおこされているのですから、運行の支配も利益もなく「運行供用者」に含まれないのが原則です。

 

古い最高裁の判例ですが、有名なものをご紹介しましょう。

 

あるタクシー会社(Y会社)のその日の当番運転手Aさんが無断欠勤したため、Aさんの担当する自動車は、朝からドアに鍵がかかっておらず、エンジンキーも差し込まれたままでした。

 

そこで、泥棒Bは駐車場に無断で入り込み、そのタクシーで勝手に営業をした上、事故を起こし、乗せていたお客さんXに怪我を負わせました。

 

泥棒Bに責任があるのは当然ですが、お金が無いので、請求しても無駄です。

 

そこで、そのお客さんXは、Yタクシー会社に「運行供用者」としての責任があるとして、損害賠償の請求をしていきました。

 

確かに、ドアに鍵もかけずに、エンジンキーも差し込んだままの自動車を放置していたのは不注意です。

 

でも、Y会社は、自動車盗まれた場合には、運行の支配失っていまし、泥棒が営業をしても運行の利益を得ることはありません。

 

従って、Y会社は運行の支配も利益も有していないから「運行供用者」にあたらないとしました。

 

もっとも、この事案は、昭和48年の古い判決であるとともに、無断立ち入りの禁止されている会社駐車場に泥棒が入り込んで盗んでいった事案です。

 

その時代よりは、自動車に対する管理責任が重くなっている現在では、違う判断もありうるかもしれません。

 

例えば、道路上に、ドアに鍵をかけずに、エンジンキーも差し込んで自動車を放置して盗難にあった場合には、自動車所有者が責任を負う可能性もあると思います。

 

皆様も自動車の管理には、十分お気をつけください。

 

交通事故の民事事件の基礎知識についてはこちらをご参照ください。

 

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カテゴリー: 交通事故のお話

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