連続児童殺傷事件加害者の手記

とある連続児童殺傷事件の加害男性が、手記を出版するようですね。

 

表現の自由は尊重すべきだと思いますので、私自身は、出版そのものは自由だと思います。

 

おそらく、差し止め請求を裁判所にしても認められないのではないかと思います。

 

ただ、私は絶対に購入しないし、読みません

 

一つ目の理由は、犯人の経済的事後共犯になるのが、生理的に嫌だからです。

 

もう一つの理由は、内容について、本当に犯人が全て書いたという真実性の担保がなからです。

 

犯行後、精神の矯正プログラムを長期に渡って受け続けてきた少年がいきなり出版本など書けるわけがありません。

 

そのため、リスク回避や、世の中にウケるために、別の手慣れたライターによって相当の修正がなされている可能性があります。

 

本来は、著者の実名の公表や「犯人しか知り得ない事実」の表明で真実性の担保をするのですが、今となってはそのいずれも不可能です。

 

そういう意味で、読書の時間がもったいないというのが私の判断です。

 

おそらく、「自分の自己体験を本を書いて出版する」という行為の中には、相当の範囲で自己顕示欲や自己陶酔、印税収入への欲が入っているでしょう。

 

これは、「人を殺すとはどういことか」という本を出版した無期懲役の受刑者である美達大和のケースでも部分的には感じました。

 

美達大和は、仮釈放を放棄すると本の中で宣言しており、その著者名も実名ではなく、被害者も事件も分からない形で書かれていた(印税も仮釈放を放棄すれば意味はありません)ので、以前購入して読んでみました。

 

確かに、相当高度の知性は感じられ、犯罪に関しての遺族の気持ちへの想像力不足を自己批判している点では、人間として更正したいという気持ちは推し量ることはできました。

 

また、彼と同じ刑務所にいる他の重罪の受刑者に対する観察や評価は、比較的客観的になされていたので、参考になりました。

 

しかし、彼の自己分析や父親との関わりの部分になると、自己陶酔が多いように感じられ、胸が悪くなりました。

 

そして、その後出版された、美達大和を崇拝するような女子高生とその母親との手紙でのやりとりの本は、最初を立ち読みしただけで止めました。

 

私は、美達大和に対しても、1冊本を出せば十分に贖罪としては足りるので、「自分が殺人犯であること」を売り物にした自己実現につきあう気はありません。

 

LB刑務所の生の姿を知るという目的は達成したので、彼の「殺人罪での受刑者」という付加価値への出費・時間の投資は差し控えようという気持ちです。

 

もちろん、出自を全く明らかにしないで、犯罪とは関係の無い素晴らしい小説などを書いていれば、知らないで喜んで読むと思いますが。

 

今回は、それとは全く異なり、死亡した被害者が分かるような形で、しかもそれが児童であるというケースで書いており、「再犯」と言っても良い残酷な行為だと思います。

 

しかも、加害者は、既に社会復帰していて、売上に応じた印税を受け取って自分の好きなように使える立場にいます。

 

自分の幼い子供が殺された事件が、子供を容易に特定される形で出版された親の気持ちってどうでしょう?

 

自分の子供を殺した売上(印税)で、加害者が豊かな生活をしたりすることを想像したらどのような気持ちになるでしょう?

 

子供を持つ方なら(いや、持たない方でも)分かるのでは無いでしょうか?


この加害者側の本を読む方は、被害者のお子さんのお父さんが書いた被害者側の本も是非読んでいただきたいと思います。

 

その本の表紙には、殺された男の子の幼稚園児~小学校低学年時代と思われるとても可愛らしい写真が載っています。

 

私には、これから販売されるこの本の1冊、1冊が、殺された子供の肉片のように見えます。

 

出版社も、ビジネスのためとはいえ、残酷なことをするものだという感想です。

 

せめて、印税がどこに入るのかくらいは、明らかにして欲しいですね。

 

書店にも読者にも相当の判断力と倫理観が求められると思います。

 

日本では、個人の表現を、名誉毀損など極めて悪質な場合を除いては、自由に認めて、それに対する批判も自由にして情報の発信、受信を広く保障しています。

 

そのような自由な情報の流通があって初めて、私たちがそれぞれ自分にとって適切な判断をすることができ、選挙を通じて適正な民主主義を実現していけます。

 

それこそが、わざわざ憲法で「表現の自由」を定めて、規制をさせないようにした意義なんですね。

 

ということで、私も表現の自由にのっとって、筆者と出版社に対する批判の意見を書かせていただきました。

 

出版社も書店も「売れる」という判断のようなので、購入する多数の読者よりも、少数派となる被害者と遺族の立場に味方したくなり(これは憲法で言われる対立構造とも似ているんですが)テーマとしました。

 

亡くなった子供たちのために、この本が出来る限り売れないことを祈って。

 

「時事の感想」のブログ過去記事についてはこちらをご参照ください。

 

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カテゴリー: 時事についての感想

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