保証契約No.2~保証人保護のための情報提供義務の新設

民法改正(令和2年4月1日施行)

保証人を保護するための情報提供義務を新たに定めました。

 

1 主債務者の履行状況の情報提供義務(458条の2)

債権者は、委託を受けた保証人(個人・法人)の請求があったときは、遅滞なく元本・利息・違約金・損害賠償などの債務について以下の情報を提供しなければなりません。

① 不履行(履行遅滞)の有無
② 未払の残債務額
③ 上記の弁済期到来分の額

もし、債権者が、この開示義務を行った場合には損害賠償義務を負います(415条)。

 

2 期限の利益喪失時における情報提供義務(458条の3)

保証人が個人である場合には、債権者は主債務者が期限の利益を喪失したこと(一括払いの義務を負ったこと)を知ったときから2ヵ月以内に、その旨を保証人に通知する義務があります。

この通知は、2ヶ月以内に保証人に到達する必要があります(到達主義)。

債権者がこの通知をしないときには、債務者が期限の利益を喪失した時から、現に通知が到達するまでの遅延損害金を保証人に対しては請求することができません。

 

3 保証委託時の主債務者の財産状況の情報提供義務(465条の10)

主債務者が、事業のための債務の保証を(法人ではない)個人の保証人に委託するときには、保証人に以下の情報を開示しなければなりません。

① 主債務者の財産及び収支の状況
② 主債務以外の債務の有無・額・履行状況
③ 主債務の担保として、他に提供している(しようとしている)ものの有無・内容

主債務者が、上の①~③の情報の提供を怠ったことにより、個人保証人が誤認して保証契約を締結した場合で、もし債権者が①~③の情報を知っていたり(悪意)、知ることができた(有過失)ときには、保証人は保証契約を取り消すことができます。

 

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