契約の取消方法No.1~事実と違う説明
業者から事実と違う説明をされて契約をしてしまった場合に、契約を取り消すことはできないのでしょうか?
弁護士からのアドバイス
【事案】
業者から「この絵は、〇〇という有名な画家が1枚だけ描いたもので、世界に一つしかありません。」と言われて300万円で買いました。
ところが、後で信頼できる専門家に聞いたところ、確かにその画家の作品だが、同じような絵が何枚も描かれているので、実際の市場価格は10万円程度しかないとわかりました。
この場合にも、契約をした以上、取消はできないのでしょうか?
【解決の結論】
取消をして、受け取った絵を返すのと引き替えに、代金300万円の返還を請求することができます。
ここでは、まず、1枚しか画家が描いていない絵という点に嘘がありますから、詐欺を理由に契約を取り消すことが考えられます。
もっとも、詐欺の場合、相手方の故意などを証明しなければならず、相手方が「本当に1枚しか描いていないと思っていた」などと争うと、証明が難しくなります。
そこで、消費者契約法では、以下のような定めを置いています。
-
事業者が重要事項について事実と異なることを告げて
- 消費者がその告げられたことを本当だと誤認して
契約した場合には、その契約の取消ができる。
この事案でも、「1枚だけ描いたもの」と、絵の価値に直接結びつく重要な事項について事実と異なることを言って、(1)消費者が「だからこそ価値がある」と誤認して、(2)契約をしていますから、取消をして、売買代金を返すよう請求することができます。